7128 夜間外出禁止令と催涙弾やゴム弾の発砲 古沢襄

カイロからロイター通信が伝えるところによると、エジプトのムバラク大統領は28日、カイロ、アレキサンドリア、スエズに夜間外出禁止令を発令した。また夜間外出禁止令はエジプト全土に拡大されたとの情報もある。
このような騒然たる情勢の中で、IAEA前事務局長のモハメド・エルバラダイ氏が27日夕刻、滞在先のウィーからエジプトに帰国したが、米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、反政府デモの中心となっている若者の間ではエルバラダイ氏に対する評価が分かれているという。
国際的には著名なエルバラダイ氏なのだが、長期にわたってエジプトを離れていたので、エジプト国内では知名度が低い。エルバラダイ氏が反政府抗議行動の波に乗るのが遅すぎたと批判する人たちもいて、空港には、友人や少数の支援者が出迎えた。
28日はイスラム教の金曜日の集団礼拝があったので、この流れがムバラク退陣を求める大規模なデモとなり、治安部隊との大規模衝突が懸念されている。カイロ近郊でデモに参加したエルバラダイ氏は、出動した治安部隊によって強制排除されたとの情報もある。
取材に当たっている外国人の記者が治安部隊に身柄を拘束され、カメラを没収される事態も起きているので、情報が錯綜しているが、治安部隊が催涙弾やゴム弾を発砲し、デモと激しく衝突して、多数のけが人が出ているもようだ。エジプト政府はデモが広がらない様にインターネットや携帯電話の通信網なども強制的に遮断しているといわれる。
米政府はムバラク大統領が過剰なデモ抑圧に出ないように牽制する一方で、エジプト政府が安定しているとみていると引き続き支援の立場を表明している。
ギブズ米大統領報道官は、今回の反政府抗議行動はムバラク大統領にとっては市民の声を聞き、「必要な」政治改革を行う用意があることを示す機会となると表明した。

<[カイロ 28日 ロイター] エジプトのムバラク大統領は28日、カイロ、アレキサンドリア、スエズに夜間外出禁止令を発令した。
国営テレビによると、同日発効し、午後6時(日本時間29日午前1時)から午前7時(同午後2時)までの外出が禁止される。
国営テレビは「一部地域で確認されている暴動や無法状態、銀行やホテルを含む公・私有地での略奪や破壊行為・放火などを踏まえ、ムバラク大統領は軍指導者として、夜間外出禁止令を発令した」と報じた。(ロイター)>
<【カイロ】エジプトの民主化を支持する国際原子力機関(IAEA)前事務局長のモハメド・エルバラダイ氏が27日夕刻、滞在先のウィーからエジプトに帰国した。空港では、友人や少数の支援者が出迎えた。
同氏は帰国を前にウィーン空港で記者団に対し、ムバラク政権の交代を求めると述べ、反対勢力を率いる用意があると表明した。同氏は反政府勢力の間でムバラク大統領に代わる指導者とみられている。
エジプトでは、カイロをはじめ各地に反政府デモが広がっており、警官隊とデモ隊の衝突は3日目を迎えた。デモの主催者は、ほとんどの労働者が休日をとる週末の28日に、大規模な抗議行動を計画している。政府はこの日、デモ参加者らとの対話に応じる意向を示した。
ノーベル平和賞受賞者でもあるエルバラダイ氏は昨年、来年の大統領選でムバラク大統領の最強の対抗馬となると目されたが、今回の反政府デモの中心となっている若者の間では評価が分かれている。エルバラダイ氏は長期にわたってエジプトを離れ支持者の多くを失望させており、同氏は反政府抗議行動の波に乗るのが遅すぎたと批判する人たちもいる。
エルバラダイ氏に近い人たちは、同氏が大統領選に立候補する意向があるかどうかはっきりさせてこなかったが失望を招いたことを認めながらも、体制変革という目標達成のためには同氏の存在は欠かせないと主張している。
エルバラダイ氏支持者の一部は、エジプトの反政府デモの引き金となる民衆暴動が起きたチュニジアでは政治の動揺が続いていることを指摘し、体制変革に伴う混乱への懸念を和らげるためには強力な指導者が必要となると強調する。
ギブズ米大統領報道官は同日、今回の反政府抗議行動はムバラク大統領にとっては市民の声を聞き、「必要な」政治改革を行う用意があることを示す機会となると表明した。また、米国はエジプト政府が安定しているとみていると述べるとともに、関係者に対し暴力を慎むよう訴えた。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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