「清(王朝)のことを蒙古族と申し上げましたが、満州族でした。訂正します」・・・元(王朝)と清(王朝)の区別もつかない日本の首相。いくら理系大学の出身とはいえ、国会の予算委員会での公式発言だから、こちらが恥ずかしくなる。
首相は司馬遼太郎の小説を日頃、愛読しているというが、大阪外語蒙古学科を出た司馬氏は元史や清王朝の歴史に通暁しているので、モンゴル族や女真族(満州族)のことが作品の随所に出てくる。司馬作品を真面目に読んでいない証拠であろう。
やはり戦後教育で世界史や日本史をまともに教えてこなかった日教組教育の歪みが現れた。英国のケンブリッジやオックスフォードの大学教育では、まず歴史をみっちり叩き込む。官僚や法律家は法律の勉強をする前に歴史的な素養がすでに身についている。
ところで小沢一郎氏が強制起訴されて久しぶりに新聞やテレビを賑わした。すでに小沢氏の政界における神通力は失せているので、特別の感慨も浮かばない。刑事被告人として法廷に立つ小沢氏は法廷闘争に明け暮れるのだろう。政治的には”死に体”といっては言い過ぎなのだろうか。
これは”脱小沢””小沢切り”で政権の浮揚策を図ってきた菅首相、仙谷前官房長官にとっても、有効だったカードを失ったことになる。神通力を失った”死に体”を叩く文化は日本にはない。それでも”死に体”が、ある日蘇生してモンスターのごとく君臨することを怖れているのではないか。菅首相にとって落ち着かない日々が続くのであろう。
杜父魚文庫
7153 司馬作品を真面目に読んでいない 古沢襄

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