7156 エジプト政変の背後はイラン 宮崎正弘

イスラエル、サウジの情報筋はチュニジア、エジプト政変の背後はイランと分析。ヨルダンもイェーメンも危殆に瀕し始めた。
カザフスタンの独裁者ナゼルバエフは、大統領選挙を繰り上げて実施すると急遽発表した。冷戦終結からすでに20年、この男もカザフスタンに強権的独裁政治を強いて、富を一族が独占してきた。
チュニジアについでエジプトがこけると、拍手喝采はイランである。
これは民衆の勝利ではない。シーア派の勝利、イスラム原理主義過激派の政権掌握を意味し、イランの影響力はいや増すことになる。
レバノンはすでにヒズボラに取られ、ガザはハマス。両テロリストの背後にあって指揮しているのはイランである。シーア派はイラクも抑えてしまった。米国は壮大な徒労を強いられ、得たものはなかった。
アフガニスタンも、米軍とNATO引き上げの日程がみえ、カルザイはさかんにテヘランを見ている。カルザイがワシントンを裏切る日も近いような気がする。
米国とイスラエルとサウジアラビアは、このイスラム原理主義過激派の政権がドミノのように樹立していく様を傍観するだけ、「民主化」要求の隙間をイランの陰謀につかれた格好である。
そうだ。ベトナム戦争で「反共」の戦いと錯誤したマクナマラは戦後二十年以上経ってベトナムへ赴き、あれは共産主義との戦いではなかった。ナショナリズムとの戦争だったと悔悟した。
チュニジア、エジプトは表面的に「民主化」へのステップを西側は愚直に錯誤している。気がつけば、アラブ世界にイスラム原理主義過激派が誕生するという悪夢は、すぐそこにある。
杜父魚文庫

コメント

タイトルとURLをコピーしました