7191 ウィキリークス カイロからワシントン公電を暴露 宮崎正弘

エジプト軍はムバラク大統領の威厳ある退陣を望んでいる。国家の中心はエジプト軍であり、軍が「エジプト株式会社」を牽引している。
2008年、すでに駐カイロ米国大使館からワシントンへ発せられた一つの外交機密公電はエジプト軍の特異性と軍内部の権力中枢を描写していた。この電報はホワイトハウス、国務省、ペンタゴンに発せられていたことがウィキリークスの暴露で判明した。
モハメド・タンタウィ将軍が、まぎれもなく「ムバラクのプードル」と言われながらも軍の権力中枢を掌握していると同公電は書いた。「かれこそが鍵となる軍人であり、軍の下士官の人望もあり、ペトロウス中央司令官やゲーツ国防長官とも屡々会談しており、米軍の信頼も勝ち得ている」と。
米国はエジプトの年間130億ドルの支援をしてきた。しかし近年の経済発展はエジプト人の意識を変え、若者の間には軍人の履歴を必要とせず、また民間と比較しても軍人の給与体系は低いまま据え置かれ、下士官の不満があがっていた。
オバマ政権はすでにムバラクへの退陣を勧告する一方で、エジプトの軍指導部と密接に連絡を取っている。スレーマン副大統領をおもてにたてタンタウィ将軍が事実上の戦術を練っている、とヘラルドトリビューンも伝えている(2月7日付け)。
軍は現在、秩序を恢復して民主的な大統領選挙の実現が可能と踏んでおり、軍は冷酷に中立を保持し、一方でムバラクの「名誉と威厳ある退場」を促しながら、他方では抗議行動が秩序正しく行われる限りにおいて介入しない方針という。
冷徹に客観的に行動がとれるメカニズムが、エジプト軍には作用している、と専門家が分析を始めた。
杜父魚文庫

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