何かとお騒がせのルーピーこと、鳩山由紀夫前首相についてです。鳩山氏は琉球新報、沖縄タイムスの沖縄地元紙2紙のインタビューで、米軍普天間飛行場移設問題で自ら「学べば学ぶほど」と口にしたいわゆる「海兵隊抑止論」についてこう語りました。
「辺野古移設しか残らなくなった時に理屈付けしなければならず、『抑止力』という言葉を使った。方便と言われれば方便だ」
…………(絶句)。もはやこの人について語るべき言葉を私は持ちません。一つ言えることがあるとすれば、この人の破壊力は凄まじい。もの凄い腕力で、日本社会のモラルも、政治に対するもともと小さかった信頼も、日本の国益も根こそぎ壊していく。世にも恐ろしいルーピーであります。
それで、鳩山氏と普天間問題というと、私はいつも昨年5月29日付の日経新聞の社説が「罪万死に値する失政である」という書き出しだったことを思い出します。個人名でのコラムならともかく、新聞の社説が、1人の政治家に対して罪万死に値するなんて激烈な怒りを込めて書くことは極めて稀というか、私は他に記憶になかったからです。おそらく、空前絶後の表現だろうなと思っていました。
ところが、さすがにルーピーは世間のそうした常識や良識の枠内に収まるような人間ではありませんでした。私の予想や想定などあってなきがごとくあっさりと飛び超えてくれたのです。きょうの琉球新報社説はこう書いていました。
「これほど言葉の軽い政治家を見たことがない。自らの言葉に無責任な人も。政治音痴の素人政治家が国を動かし、国民を翻弄し、政治不信を高める。万死に値する大罪だ」
時期を違えて、別の新聞の社説でそれぞれ「万死に値する」と指摘される政治家がまさかあろうとは…。ルーピーのバカさ加減、もといスケールの大きさに圧倒され、目眩と嘔吐を禁じ得ません。ちなみに、琉球新報社説は次のようにも記していました(抜粋)。
「政治音痴の素人政治家に、国政を委ね、安保・外交政策を左右されることの怖さに、身震いした」
「全てが浅はかな思い付きと行き当たりばったりの政権公約、理念と信念なき政策運営だったことが、あらためて明らかになった」
「指導力を欠き、官僚に翻弄され、身内の閣僚からも見放される。明らかに首相になってはいけない人が、この国を担う。民主党政権の限界も露呈している」
まだまだ産経新聞も私の筆も甘いなあと、反省した次第です。…普天間問題でも対露外交でもマニフェスト見直しでも小沢一郎元代表への対応でも、菅政権の足を一番強く引っ張っているのは、小沢氏というより、鳩山氏ではないかという気がします。それだけ菅直人首相に人徳がない、ということでもあるのでしょうが。
杜父魚文庫
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