小沢一郎氏に対する民主党の「処分」は、予想していた通り「党員資格の停止」となった。最も軽い処分である。これで、党としては一定の「けじめ」をつけたことになるということらしいが、一番ほっとしているのは菅首相だろう。
民主党の倫理規定によれば、処分には「党員資格の停止」「離党勧告」「除名」の3段階がある。
菅首相は年初には「裁判に専念されるのがいい」などと、小沢氏に離党を迫る意気込みを示していたが、その後、徐々にトーンダウンしていった。
意思決定機関としては役員会よりも常任幹事会が上のランクにある。14日の役員会で処分を決めたが、これを15日の常任幹事会で正式決定することになる。この常任幹事会が自民党でいえば総務会である。
小沢系議員らは猛反発しているが、小沢氏にしてみれば、今後、最も動きやすいスタンスということもいえる。党員資格の停止によって、選挙で公認されず、党代表選の選挙権、被選挙権を失うことになるが、事実上、なんら支障はない。小沢氏にとっては、個人事務所はあるし、その政治活動を大きく制約するものではない。
これが、離党だ、除名だという話になっていたら、小沢氏についていく議員も少なからず出ただろうし、「小沢新党」結成という事態に直結していたかもしれない。
今回の軽い処分でも、小沢氏の出方次第ではそうした事態にならないとも限らないが、まあ、当面はこれで「小沢問題」もひとまず沈静化することになる。
だから、一番ほっとしているのは菅首相なのだ。
もっとも、こういう中途半端な対応に終わったことで、小沢氏としては、揺さぶりをかけやすくはなる。菅首相の出方によって硬軟とりまぜた動きが可能になる。
処分で一区切りつけたと、菅首相はひと山乗り越えた気分だろうが、次第に不気味な思いにさいなまれていくに違いない。「菅vs小沢」の神経戦はこれからが本番だ。
杜父魚文庫
7241 「党員資格停止」で助かった菅首相 花岡信昭

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