日本ビジネスプレスの私の連載コラム「国際激流と日本」の紹介を続けます。中国の軍拡が日米同盟を骨抜きにしようとしているというアメリカ側専門家たちからの警告です。
なお原文へのリンクは以下です。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5474
======
中国軍が尖閣諸島を突然攻撃し、米軍が日本の支援のために艦艇を急派しても、その接近が阻止されるというシナリオが浮かび上がるのだ。そのシナリオが現実となれば、米軍が日本を防衛できない日米同盟ともなってしまう。
中国の軍拡が日米同盟を根本から揺るがしているというのは、こういう事情なのである。
宇宙の軍事利用にも関心
エリクソン氏は中国の軍拡について、さらに具体的な指摘をした。「中国軍は第1列島線内でハイテク兵器を投入し、海上と航空と宇宙とを組み合わせる立体的な戦略を強化している。この戦略は時には『航空航天』とか『空天一体化』とも呼ばれる。
具体的には、対艦攻撃用の弾道ミサイルおよび巡航ミサイルの開発と強化、潜水艦の増強、潜水艦発射の対艦ミサイルの強化、独自の空母の配備、そして米軍の人工衛星を破壊する能力の強化などだ」
「中国は、米軍の戦力が通信衛星や偵察衛星の機能に大きく依存することを特に重視して、宇宙の軍事利用に関心を向けている。米国の衛星を破壊するミサイルの開発を進めるとともに、中国独自のGPS(全地球測位システム)を2015~2020年までに完成させようとしている。
空母については、中国軍はすでにウクライナから購入した大型空母『ワリヤーグ』を使って、艦載機の発着の本格的な訓練を開始した。潜水艦については、ディーゼルと原子力という両タイプの新型艦の開発を大々的に進めている」
エリクソン氏がこのように指摘する中国側の動きは、すべて東アジア、太平洋における米軍、特に米海軍の抑止力を削ぐことを目的にしている。
このまま中国の軍拡が思惑どおりに進めば、日米同盟はやがて「ゲームチェンジ」を迫られる、というよりも骨抜きにされてしまうだろう。
エリクソン氏らの「中国の軍事力の台頭」報告は、そんな警告の発信とも言えるのである。(終わり)
杜父魚文庫
7266 米軍が日本を守れない日米同盟とは(3完) 古森義久

コメント