7269 中国のインターネット弾圧「金盾プロジェクト」とは  古森義久

アメリカ議会の各委員会でも最もパワーのある組織の一つ、上院外交委員会が中国政府のインターネット弾圧などを非難する報告書を公表しました。
中国当局のインターネット警察網ともいえる「金盾工程」というシステムににも触れています。
報告書の指摘で注目されるのは、最近まではアメリカのネット企業から輸入していた中国内部でのインターネットの規制・監視のシステムを中国側が独自に開発し、他の独裁諸国へ輸出しようとする動きがある、という点です。この件について以下の記事を書きました。
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〔ワシントン=古森義久〕米国上院外交委員会は15日、米中関係について中国当局のインターネット弾圧などを非難する報告書を公表した。
同報告書は中国が米国で自国の文化や情報を広める作業を強めているのに対し自国内では米国関連の情報や文化の拡散を厳しく制限していることを改めるべきだと勧告している。
「中国と米国=インターネット時代の対民間外交」と題された同報告書はオバマ政権への政策勧告を主眼としている。
上院外交委員会はこんごの米国にとって中国の存在がきわめて重要になるという認識から米中関係の健全化という視点に立ち、中国側のインターネットなど情報や文化の規制、抑圧を批判的に指摘した。
同報告書はインターネットについては中国政府がチベット、台湾、天安門事件、新疆ウイグル自治区などについて政府と異なる視点から意見を表明したジャーナリスト、民主活動家を威嚇や逮捕しているとして昨年中には34人のジャーナリストを逮捕し、合計1400人の政治犯を拘留している、と述べた。
同報告書はまた米国政府系の中国向けラジオ放送VOAとRFAが中国当局により頻繁に妨害を受け、両放送局のインターネット・サイトも中国側によりアクセス禁止の措置を取られることが多いとして、米国政府に対し中国政府にインターネット検閲の停止を求めることを勧告した。
中国側は国営通信の新華社を主体に米国内で自由なインターネット活動やラジオ放送の活動を許されているという。
同報告書によると、中国政府は国内でのインターネットの規制や監視に「金盾工程(プロジェクト)」という巨大なシステムを機能させているが、最近は自国でインターネット検閲の技術を開発し、他国に輸出する準備を始めている。
同報告書はさらに中国について
①米国内では「孔子学院」という中国政府系の文化機関を合計71ヶ所も開設して、自国の言語、文化、情報を広めているが、中国領内ではアメリカ・センターの開設は5ヶ所しか認めていない
②米国などの外国の映画の中国への輸入は年間20本までと制限し、映画の海賊版の横行を許して米国側に巨大な被害を与えている
③経済面での自由化にもかかわらず、政治面では自由化はまったく進まず、共産党は経済発展による政治の民主化や自由化を最も恐れている
④在米の中国人留学生は約13万人で全外国留学生の約20%を占めるが、中国に留学する米国人学生の数は年間1万4千人ほどで極端な不均衡――などという諸点を伝えている。
杜父魚文庫

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