臆測が臆測を呼んだ永田町の週末となった。民主党の小沢一郎元代表への処分方針に反発した衆院議員16人が会派離脱届を提出したことに端を発して、仙谷由人代表代行が公明党幹部と秘かに首相退陣と引き換えに2011年度予算関連法案の成立に協力するよう打診した・・・との怪情報が永田町を駆け巡った。
菅首相の盾となってきた「影の総理」が動いたとなると首相退陣は真実味を帯びる。樽床伸二元国対委員長は神奈川県平塚市での会合で「時のリーダーがいかに決断するかにかかっている。われわれは菅政権を存続させることが仕事ではない」と明言。「1カ月以内に大きな決断をしなければいけない時期がくる。大きく世代交代して前に進めていくしか道がない」と発言した。
だが、仙谷氏も公明党幹部もこの話を否定している。風評として流れたのは「仙谷氏が15日、公明党幹部と会談した際、首相退陣を条件に関連法案成立に協力できないか打診したが、拒否された」というまことしやかな話である。二日後の17日には首相官邸で仙谷氏と菅首相が40分間も会談をもったから事は信憑性を帯びた。
公明党はただちに15日の会談そのものを否定。そうであろう。野党が一致して菅内閣に退陣を迫り、解散・総選挙に追い込もうという時に、菅首相の首と引き替えに民主党政権には協力しようという裏話だから、抜け駆けに等しい。水面下の話がトタで表に出されては否定するしかない。
すかさず菅首相は退陣を拒否して、封印していた衆院解散・総選挙までチラつかせた。だが孤独感が漂う。内閣支持率が20%を切っているので、解散・総選挙となれば民主党は300議席が100議席前後まで減るといわれている。解散など出来る筈がないというのが民主党内の空気である。
18日夜に菅首相は公邸に仙谷氏、岡田幹事長、枝野官房長官ら幹部を集めたが、岡田氏は一度も口を開かずに沈黙を守っていたという。表芸(おもてげい)しか出来ない岡田氏にとって、百鬼夜行の永田町の夜には身の毛もよだつ思いなのだろう。やはり舞台回しは仙谷氏しかいないのかもしれない。
杜父魚文庫
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