7291 イラクの民主化の効用が証された 古森義久

中東の民主化!?イスラム圏の民主化?!エジプトで起きたことは民主化ですよね。では中東でもイスラム圏でも、民主化は無理ではなかったことになります。
イラクの民主化は無理だと主張した人たちまでが、エジプトの民主化を認め、ほめています。いまその「民主化」が中東諸国やイランに波及しているそうです。
しかしイラクではそんな現象は起きていません。なぜならイラクではすでに民主化が軌道に乗ったからでしょう。いやいや、そんなことはない?まさか「不都合な真実」ではないですよね。
(ワシントン=古森義久)エジプトでの政権打倒が触媒となって中東、イスラム圏に広がった反政府・民主化への動きが、イラクでは起きていない現実が米国の国政の場で指摘されるようになった。イラクでは米国の軍事介入の結果にせよ、すでに民主化が進んだことがその理由とされ、ブッシュ前政権のイラク政策の再評価にもつながってきた。
エジプトでの民主化要求に刺激されたような同種の反政府デモはバーレーン、イエメン、ヨルダン、アルジェリア、イランなどの諸国で連鎖のように広がった。
しかし中東の要衝イラクでは政権や統治のあり方自体に抗議する動きは起きず、まず上院共和党の有力者ジョン・マケイン議員が「イスラム教の過激派あるいは専制的な政権に対し民主化を求める動きはいま中東によきウイルスのように広がったが、その種のデモがないのはイラクだけだ」と述べ、イラクではすでに民主化が進んだことをその原因として指摘した。
上院共和党院内総務のミッチ・マコネル議員も「イラクで今回、エジプトに似たデモが一切、起きていないのはブッシュ前大統領やマケイン議員の主唱でイラクへの米軍増派と平定そして民主化が軌道に乗ったためだ」と言明した。ブッシュ氏はイラクに対し2005年に「自由への課題」と題する民主主義政体の構築計画を打ち出し、複数政党や自由選挙の実施を支援した。
イラクの現状についてはニューヨーク・タイムズ15日付もバグダッド発で「イラクは民主的選挙で選ばれた政権に統治されているため、国民側もその政権を受け入れ、反政府デモはない」と報じた。同報道はイラク国内の一部には政府への抗議もあるが、その対象は公共サービスや雇用、物価などであり、政権の打倒運動ではない、とも付記していた。
米国の中東問題専門家ダニエル・パイプス「中東フォーラム」所長も「中東全域でもイラクだけはいま民主化要求デモが皆無」と述べ、「イラクではすでに自由な選挙、言論の自由、法の統治など民主主義の要件が備わったからだ」と理由を説明した。
アラブ諸国の政治的な地域協力機構の「アラブ連盟」は3月29日に首脳会議をバクダッドで開き、最近の政情などについて協議するが、この時期の開催地にイラクを選んだこともイラクの民主化の進展や安定への認知を物語っているといえる。
パイプス氏はイラクの現状に関連して「ブッシュ前大統領がイラクなど中東の民主化構想を打ち出したときは米国内部でもリベラル派から『イスラムの教徒や教義は本質的に民主主義には合致せず、中東の民主化という目標はあまりに非現実的だ』と非難されたが、現在のイラクの実態やエジプトでの展開はその非難こそが的外れだったことを証明しつつあるようだ」と論評した。
オバマ政権もいまでは中東やイスラム教徒の民主化という政策目標を大きく掲げるにいたった。パイプス氏はそのオバマ政権に対しても「民主主義の促進には時間と手間がかかることと、民主化の名の下にイスラム過激派が権力を握る危険があることを銘記して、慎重に進むべきだ」と提言した。
杜父魚文庫

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