雑誌『正論』4月号(3月1日発売)で、「これが日本再生の救国内閣だ!」という特集をしている。「保守派論客50人」にそれぞれが考える理想の内閣を組閣してもらうというもので、小生も依頼を受けて、主要閣僚を勝手に選んでみた。
詳細は雑誌をお読みいただきたいが、小生が勝手につくった主要閣僚名簿は次の通りである。それなりに頭をひねった結果だ。
首相 安倍晋三
外相 平沼赳夫
財務相 原口一博
防衛相 長島昭久
文科相 山谷えり子
総務相 桜井よしこ
農水相 小沢一郎
経産相 松原 仁
法相 稲田朋美
官房長官 菅義偉
政治のリアリズムを踏まえながら、理想的な救国政権を考えるというのは、なかなかしんどい作業ではあった。首相には安倍氏しか思いつかなかった。もうそろそろ安倍氏の「復活」を言い出してもいいだろうと思っていたら、なんと50人のうち14人が「安倍首相」としていた。思いは同じということか。
考えてみれば、安倍氏は病気によって退陣に追い込まれたとき、羽田空港から救急車で病院に直行していたら、あれほどの批判は受けなかったのではないか。その点、周辺の対応がまずかった。
もう体調は完全に元に戻ったようだから、再び出番が来てもいいころだ。
救国政権というからには、国家観、国家戦略がきちんとしている人でないと困る。そのうえで政治を変えていく実力を持たなくてはならない。そういう基準で選んだ。
背景となる基本構造は政界再編による、いわば「大連立」だ。これを成し遂げるためには、相当の力技が必要になるわけで、民主党の場合、小沢一郎氏の存在を無視できない。だから、あえて選んで「農水相」とした。
そのこころは、今後、日本にとって最大の課題となるTPPへの対応を考えてのことだ。いたずらに反対するばかりでは、日本は国際社会の孤児となる。戦後最大級といってもいいくらいの政治判断が求められる。
そのさいに、必要なのは、「農協」を中心とする農業にからむ既得権益集団をいかに抑え込み、日本農業を新時代にふさわしいかたちに脱皮させるかだ。これをやってのけることができる政治的パワーを持ち、ウラもオモテも含めてこの難事業に取り組めるのは小沢氏しかいないと判断した。
国家観や国家戦略に致命的な欠陥を示してしまったのは、菅、鳩山両氏の現・前首相だから、当然ながら、この両氏は理想的救国政権からは排除される。そのうえで、自民党も含めて保守派を中心とする多数派を形成しようとすると、小沢氏を外せなくなる。
小沢氏は政局を大転換させようというときには、それまでの政策や理念などはポーンと飛び越えることができる政治家である。そこに賭けたいと思った。
小生はともかく、ずらりと並んだ識者がつくった閣僚名簿は必見だ。それぞれに、この国のありようを考えさせるヒントが隠されている。ご一読をお勧めしたい。
前の首相にとって米海兵隊の抑止力への理解が「方便」なら、現首相は月2万6千円の子ども手当に「ビックリした」そうだ。民主党の実現不可能な公約の元凶は当時の小沢一郎代表だと言いたかったらしい。何たる無責任さ、もうこの党の統治能力自体を疑うしかない。
▼そんな折、明後日発売の雑誌『正論』に一足早く目を通した。「これが日本再生の救国内閣だ!」というトップ記事にひかれたからだ。このままでは日本は沈没するしかない。誰が救えるのかと、保守派の論客50人に「組閣」をしてもらっている。
▼詳細は同誌をお読みいただけばよいが、「保守派」と断ってあるだけに、世論調査とはひと味もふた味も違っていて興味深い。まず首相だが、安倍晋三氏の「圧勝」である。50人中14人に推された。安倍政権の「戦後枠組みの見直し」にこそ日本再建を期待しているのだ。
▼石原慎太郎氏、平沼赳夫氏らがこれに続いている。稲田朋美衆院議員の「人気」も高く、ほとんどの人が首相や閣僚に推す。防衛相や拉致担当相に田母神俊雄氏や西村真悟氏が挙がっていることとあわせ、国家観が希薄な現政権への痛烈なパンチといえる。
▼中で異色なのはニーチェなどの研究者である適菜収氏の「閣僚名簿」だ。首相が小沢一郎氏で外務相に鳩山由紀夫氏、財務相は菅直人氏である。しかも文科相が日教組出身の輿石東氏、官房長官は仙谷由人氏ときている。菅さんでなくともビックリだ。
▼むろんこれは逆説である。適菜氏も「この内閣で(国民が)一度地獄を見て、悔い改めない限り日本の再生はない」とコメントしている。慧眼(けいがん)である。だが現政権でも地獄を見るのは時間の問題のような気もする。
杜父魚文庫
7337 これが理想の救国政権! 花岡信昭

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