リビア反政府軍は海岸線の確保を当面の軍事目標として・・・。旧ソ連武器、81ミリ砲はイスラエル製、若者は火炎瓶を用意。
軍事力に彼我の差がある。反カダフィ勢力は、イデオロギー無し、部族を基軸とした、軍事訓練が未熟なアドホックな部隊の混成であるため、戦闘力に限界がある。指揮系統が一本化していない。
カダフィ側は精鋭部隊2500,武器は最新。戦闘機、武装ヘリを保有し、カネに証せて外国傭兵を募る。制空権を掌握している。
ベンガジからトリポリまで1000キロ。当面はこの海岸線の主要拠点、港湾、陣地の争奪戦がおこなわれるだろう。とくにマルサ・アル・ブレガ港とシルテ油田での争奪戦が激化している。
『テロリズム・モニター』(米ジェイムズタウン財団発行)3月3日付けは、次のように戦局を伝えた。
「反政府側は統一されておらず軍事司令官がいない。彼らの多くは『これはリビア内戦ではない。市民革命だ』などと言っている。かろうじてマハディ・アル・アラビ前統幕副議長が指揮を執っているが、多くの反カダフィ勢力は『2月17日革命』と自らを規定している」
かれらの武装は貧弱であり、旧ソ連製のT55戦車、地対空ミサイルとカラシニコフ銃、81ミリ砲はイスラエル製で、武器が不足するため若者らは火炎瓶を用意している。
カダフィ軍はトヨタのランド・クルーザーを駆使して砂漠に現れ、高性能の武器で攻撃を仕掛けてくる。これに若者らは接近戦で火炎瓶で対応しようというわけだ。
リビアはチュニジアやエジプトのように観光客がおらず、外国人労働者が数百万。これらの逃亡、国境線の大混乱などがあり、戦局のゆくえは混沌としている。
「反カダフィ側は米国やNATOの空爆を望んでいる」との報道もあるが、米軍が空母派遣、フランスが上陸強襲艦を派遣しているていどで、飛行禁止区域の設定さえ、中国とロシアの反対に遭遇している。
ひょっとしてリビア内戦はイラクのように長引く懼れがではじめた。
杜父魚文庫
7361 リビア内戦は混沌、長期化の様相 宮崎正弘

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