7408 「致命的な国家観の欠如」菅政権 阿比留瑠比

中国漁船衝突事件にしてもロシア大統領の北方領土訪問にしても、明らかに国家観に軸がない日本の政権与党の足元を見ての行為だ。民主党政権によって失われた国益は計り知れないが、そもそも彼らの辞書には国益という文字がないのかもしれない。
菅直人首相の側近である土肥隆一衆院議員が日本政府に対し、竹島(島根県隠岐の島町)の領有権を放棄するよう訴える韓国側との共同宣言に署名した問題は、民主党政権の致命的な国家観の欠如を象徴している。「国というものが何だかよく分からない」(鳩山由紀夫前首相)政権が、国家のかじ取りをしているのが現状だ。
■民主党の体質
土肥氏の今回の異様な行動について、野党の自民党側は民主党全体の体質が露呈したものと受け止めている。
「民主党の中に、そういう考えを持つ人が大勢いるということだ」(石破茂政調会長)
「民主党の体質だ。新左翼崩れの菅内閣の延長上から出ている」(平沢勝栄衆院議員)
「今の政府は、竹島が韓国に『不法占拠』されていると絶対に言わない。土肥氏の考えは今の政府の考えそのものだ」(稲田朋美衆院議員)
政府は「大変遺憾に思う」(菅直人首相)、「民主党の立場とも相いれない」(枝野幸男官房長官)と火消しに躍起だが、民主党政権に国家主権意識が希薄なことは否めない。
「日本列島は、日本人だけの所有物じゃない」
野党時代からこう強調して、永住外国人への地方参政権付与を目指した鳩山氏が民主党政権の初代首相なのだ。鳩山氏のブレーンとされた劇作家の平田オリザ氏は昨年2月のシンポジウムで、こう語っている。
「鳩山さんとも話をしているのは、21世紀は、近代国家をどういうふうに解体していくかという100年になる…」
そして今、在日外国人も投票権を行使した昨年9月の民主党代表選を経て、かつて国旗国歌法に反対していた菅首相がその跡を襲っている。
同じく国旗国歌法に反対票を投じ、外国人参政権推進派でもある前原誠司前外相は、政治資金規正法が禁止する外国人からの献金を5年間で25万円受けていた問題で辞任に追い込まれた。これも、結局は国籍の重要性、国家主権の意味に関する認識が足りなかったからだ。
■新左翼崩れ
土肥氏は旧社会党出身だが、土肥氏に限らず民主党のメーン・プレーヤーは旧社会党だらけであることも指摘したい。
自衛隊を「暴力装置」呼ばわりして更迭された前官房長官の仙谷由人代表代行も、反日・自虐史観教育を続ける日教組のドンとして参院に君臨している輿石東参院議員会長もそうだ。
かつてソウルの駐韓日本大使館前での韓国の慰安婦問題支援団体による「反日デモ」に参加し、韓国人と一緒に大使館に向かってこぶしを振り上げた岡崎トミ子前国家公安委員長も、旧社会党からの移籍組だ。
岡崎氏の政治団体は前原氏のケートと同様、過去に朝鮮学校理事長の男性とパチンコ店経営者の2人の外国人から献金を受けていたことも発覚している。
さらに現内閣の細川律夫厚生労働相も松本龍環境相も大畠章宏も、民主党の鉢呂吉雄副代表も民主党出身の横路孝弘衆院議長みんな旧社会党出身だ。
菅首相と江田五月法相は社民連出身だが、社民連はもともと社会党の分派であり、同根から派生した同類だといえる。この二人は、ともに拉致実行犯である北朝鮮工作員、辛光洙元死刑囚の釈放嘆願書に署名したという共通項もある。
「この政権は、全共闘時代の新左翼崩れが集まって作った政権だ」
昨年6月の街頭演説で、こう断じていたのが与謝野馨経済財政担当相だ。今年2月の衆院予算委員会では、「極めて常識的なことを言った」と述べて、この認識は現在も変わらないことを表明している。
中国漁船衝突事件にしてもロシア大統領の北方領土訪問にしても、明らかに国家観に軸がない日本の政権与党の足元を見ての行為だ。民主党政権によって失われた国益は計り知れないが、そもそも彼らの辞書には国益という文字がないのかもしれない。(産経)
杜父魚文庫

コメント

  1. yosi より:

    この度の大震災で亡くなられた多くの方々、なかでも親御さんを失った幼い子供たちのことを思うと救いようのない悲しみに打たれる。この感情は阪神神戸大震災の時もそうであった。
    しかしあえて言わせていただけば、大困難に遭遇した際の日本人の精神の気高さに粛然とする。取り分け深い悲しみに全身全霊で耐え、なお毅然たる表情を崩さないでおられる老齢のご婦人達、幼子を必死に守ろうとする若い母親の神々しいまでの姿。我々は斯くたる民族であったのかと思う。
    しかし翻ってみれば、亡国予算を議会で火事場泥棒的に承認させようと画策し、己と党員の売国行為をはぐらかすべき好機と、欣喜雀躍する菅内閣総理大臣と民主党。卑劣である。

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