英仏空軍がイタリア基地に集結、カナダ、スペイン、ベルギーも。カダフィ政権は慌てて「停戦の国連決議に従う」と時間稼ぎ戦術。
リビアはいよいよ終幕を迎える。3月18日、国連安保理事会はリビアへの追加制裁を可決し、「飛行禁止区域」設定を決めた。ロシア、中国、ドイツが反対に回った。
陸上戦闘はカダフィ政府軍が大量の武器と傭兵のハイテク装備を背景に圧倒的戦力をもって、ベンガジに迫り、これまで反カダフィ勢力が抑えてきた重要拠点のいくつかを奪回した。
アルジャジーラなどの報道に拠れば、反政府側はせいぜいがトヨタのトラックに乗せた機関砲、対空砲などで応戦しているに過ぎず、制空権をもつカダフィがベンガジを空襲すれば、ひとたまりもない劣勢という。
カダフィ傭兵の戦闘部隊はダルフールで鍛えたゲリラ、武装勢力が主力と推定されている(米ジェイムズタウン財団「リビアレポート」3月17日付け)。
ベンガジ陥落が目の前となり、国連は焦った。ロシア、中国の顔色を窺うのをやめ、仏英主導、米国支援のかたちで強引に国連決議をまとめたのが実情だろう。
三月18日に採択された国連決議の要旨は次の通りである。
(1)リビア情勢悪化に重大な懸念。即時停戦と市民攻撃の終結を要求
(2)市民保護のためあらゆる必要な措置を講じる。外国による占領はいかなる形でも除外する
(3)人道支援を除くリビア上空のすべての飛行を禁止
(4)対リビア武器禁輸の監視強化
「国連決議の謳う通り、われわれは一般市民を巻き添えにしない、われわれは国連の一員であり、国連決議を遵守する」とリビア外務省は殊勝な声明をだしたが、陸上戦闘は続いており、時間稼ぎでしかないことは明白である。
すでに英空軍はイタリアの出撃基地に到着、フランスが続き、カナダ、スペイン、ベルギーも参加を表明した。米軍もクリントン政権のときにセルビアに「五千メートル上空から介入」したように、カダフィ軍事基地への空爆にまで踏み切るか?
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(読者の声)先日の,原子炉に上空からヘリで水を投下する映像を見て暗澹たる気持ちになりました。万策尽きて捨て鉢になってゐるやうな印象を受けます。しかし実際にはそれほど絶望的な状況ではないでせう。こんなことをしなくても,なんとか大事に至らないうちに1~4号機を封じ込めると思ひます。
であればこんな姑息なことはしない方がよったのでは,と言ふ感想を持ちます。
この映像を見て世界は”フクシマ”の状況を相当な深刻度で見るやうになったのではないか.一体誰がこんなことを命令し,誰がこんな映像を流したのか.言ふまでもなく菅政権が指示し,NHKを始めとするTVメディアが流したのです。
下司の勘繰り,と言はれても仕方がありませんが,何か意図的なものを感じてしまひます。つまらない策謀を防ぐためにも,一日も早く1~4号炉を安全な状態に持っていっていただきたい。それができれば今回の大災害は大きなヤマを越えることができます。
大変でせうが現場で辛い任務にあたってゐる関係者の方たちに期するところ切なるものがあります。(NN生,横浜市)
(宮崎正弘のコメント)毎日何回も会見するエダノが、米国メディアでは不眠不休のスーパーマンとして伝えられています。漫画です。
杜父魚文庫
7471 カダフィのリビアはいよいよ終幕を迎える 宮崎正弘

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