アメリカ官民が菅政権の福島原発の危機管理に不信や不満を抱くようになったことはすでに報じました。アメリカ政府はとくに日本政府が発表する核危機の情報に疑惑を表明しています。
その結果、アメリカは自国独自のハイテク装置を動員して放射能の測定などに当たるという行動に出ることになりました。
もちろん日本への協力という形をとっていますが、その背景には菅政権への不信が存在するわけです。
〔ワシントン=古森義久〕米国政府は福島第1原子力発電所の危機についての日本政府の公表情報への不信を深めているが、日米間の情報ギャップを埋めるために米国独自の高性能の放射能測定装置などを日本で使い始めたことが18日までに明らかとなった。
米国エネルギー省のポンマン副長官はホワイトハウスでの会見で米空軍が空中から大気の放射線と地上の汚染のレベルを測る高性能機器「空中測定システム(AMS)」2基を福島原発の放射能測定のために日本へ急送し、すでに現地で日本側の協力を得ながら使用を始めたことを明らかにした。
AMSはエネルギー省国家核安全保障局に管理され、通常は米空軍のワシントン近郊のアンドリューズ基地とネバダ州のネリス基地に専門家集団とともに配備されている。本来、軍関連の核の放射能や汚染の程度を敏速に測り、その場で分析して対策を決めることを目的とする米国のハイテク最新機材。ヘリや固定翼機に積んで放射能を測定する。
米国政府はさらに福島原発の放射能の調査のために空軍無人偵察機グローバル・ホークと高度偵察機のU2を投入したほか、一群の人工衛星による偵察も集中的に強化し始めた。ポンマン・エネルギー省副長官はこの種の米国独自の測定作業はいずれも日本政府の了解と協力を得て進めていると言明した。
米国のこうした一連の放射能測定の機器はいずれも日本側の既存の手段よりも性能が高いとされる。米国政府が独自にこの種の機器を投入することになったのは、日本側の発表情報への不信を深めたことが大きい。最も顕著な例は福島原発4号機の使用済み核燃料プールには日本側がまだ水があると述べたのに対する米側の「完全に乾いている」という言明だった。
住民の避難区域も日本側は同原発から半径20㌔としたのに対し米側は80㌔に設定した。この設定について米原子力規制委員会のヤズコ委員長は18日、「これまでの米側の放射能測定ではこの距離が正当化される」と述べ、米国政府の情報への自負を示した。
米側では日本の情報の収集能力にまで不信を抱いており、民間の国際問題研究機関のモントレー研究所のルイス研究員は福島の4号機についての日本側の発表情報は主としてヘリからの肉眼での観測を根拠としているとの見解を示し、肉眼はあまり信頼できないと述べた。
杜父魚文庫
7478 アメリカの菅政権不信 古森義久

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