7493 出荷停止はやりすぎではないか 花岡信昭

カキナという野菜があることを初めて知った。ホウレンソウとともに、福島、茨城、栃木、群馬の4県に対し、出荷しないようにという首相指示が出た。福島は牛の原乳も出荷停止だ。
テレビで見ると、酪農家は絞ったばかりの原乳をそのまま排水溝のようなところに捨てている。放射線で汚染されているのなら、土壌汚染などは大丈夫なのだろうか、などと素人目には心配になる。
原子力災害対策特別措置法による指示である。政府の指示だから、該当農家には東電や政府から補償金が出る。食品衛生法の暫定基準値を超える放射性物質が検出されたためというが、福島のホウレンソウなどの規制はモニタリングで検出されたのではなく、他の3県よりも原発に近いという理由だ。
暫定基準値は、今回の原発事故により、原子力安全委員会の基準をそのまま使ったものだ。だから「暫定」という言葉がついている。
もともと厳格な数字が設定されていたから、1年間飲食し続けて初めて健康被害の可能性が出るかもしれない、というぐらいのものだ。
枝野官房長官は「一生食べ続けても・・・」と記者会見で述べていたが、「一生」なのか「1年」なのか、あいまいだ。いずれにしろ、まず健康に影響が出るレベルではないことだけは確実だ。
どうも、政府は先走りすぎているのではないか。万一の場合の責任を考えてのことか。風評被害が一番怖いということをわきまえるべきだ。
枝野官房長官は「冷静に対応してほしい」と繰り返していたが、出荷停止となれば、ほかの産地のホウレンソウなどにも影響が出かねない。
牛乳も影響が出るだろう。加工品はホウレンソウなどよりはるかに幅広いから、波及するところも大きいのではないか。
そんなことを考えていて、真夜中のテレビをつけたら、東京電力の記者会見を延々と中継している。
原発近くの海水から高濃度のヨウ素、セシウムが検出されたという。本当に危険な数値なら、海産物に深刻な影響が出かねない。大騒ぎすべき実態なのか、そうではないのか。記者側に突っ込まれて、東電側はまともに回答できないありさまだ。
本当に大変な事態であるならば、真夜中であろうと政府が対応すべきスジの話だ。朝になって風評被害が一気に拡大するのではないかと予感している。
杜父魚文庫

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