7499 メドベージェフ大統領が初めてプーチンを批判 宮崎正弘

メドベージェフ大統領が初めてプーチンを批判した。リビア空爆を「文明の衝突」「十字軍」としたプーチンと対立は芝居か?
「タンデム」の亀裂か、あるいは、これは猿芝居か?メドベージェフ大統領は初めてプーチンを批判したのだ。二人の論争<?>らしきは連合有志国家によるリビア空爆を巡って賛成、反対という短絡的なものではなく「文明の衝突」が論点という「高尚な」レベルだった。
 
経過はこうだ。プーチン首相は3月21日、ミサイル工場(ボトキンスク)を訪問した折、「リビア上空の飛行禁止区域設定と軍事行動を承認した国連安全保障理事会の決議は「明らかに不完全。欠陥がある」と非難した。
「リビアは主権国家であり、どんなことをしても許されるのか。まるで中世の十字軍を思い出させ、論理性も良心もない」と酷評だった。
メドベージェフ大統領は数時間後、プーチン首相の名指しはしないものの、「『十字軍』などと、文明の衝突をもたらすような比喩は容認できない。リビアで現在起きていることはリビア指導者の戦慄すべき行為、そして国民に対して犯した犯罪の結果だ」と語った。(カダフィも「十字軍」と言っているので、この発言は直裁にはカダフィ批判である)。
「飛行禁止区域設定」などの国連決議にロシアは棄権したが、これはメドベージェフ大統領の指示だった。
プーチン首相は拒否権行使を示唆していたという。
メドベージェフ大統領は「この国連決議が誤りだとは考えていない。決議はリビアの事態に関するわれわれの認識をおおむね反映している」とした。
もっとも西側のとった「飛行禁止区域」設定後の軍事行動は事実上の空爆、決議のレベルを超えた軍事介入であり、トルコはNATOの基地をおく関係もあって、西側同盟と考えられがちだが批判する側へ回った。
国連決議に賛成し、一部は軍も派遣したアラブ連盟のムーサ代表は、明確に批判した。「ここまで軍事行動をとるとは考えていなかった」とムーサは発言したが、彼自身、次期のエジプト大統領選挙に出馬する準備段階であり、政治的ジャスチャー色が濃い。
さて「タンデム」とは二人乗り自転車のこと、二人三脚を意味する。プーチンのロビン(付録)とウィキリークスが暴露したメドベージェフ大統領とプーチン首相のタンデム関係は、深刻な亀裂が入ったのか、それとも田舎の猿芝居か。
2人とも2012年の大統領選に出馬する可能性があり、本気の対立状況を迎えたのか。
     
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 読者の声 どくしゃのこえ 読者の声 どくしゃのこえ 読者の声 どくしゃのこえ
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(読者の声)或るメルマガで今の日本の困難な状況の中でもトルコは日本の技術協力を得て、予定通り原発建設計画を推進すると知りました。記事を検索すると確かにロイターのイスタンブール14日発の記事がありました。
<引用開始>「トルコのユルドゥズ・エネルギー相は、2カ所の原子力発電所の建設計画について予定通り進める方針を示した。1カ所では日本との技術協力で進める予定で、東京電力および東芝と協議を進めている。
エネルギー相はテレビ番組で「日本の今回の地震はトルコの計画に影響しない。今回の事態からの教訓を踏まえ、協議を継続する」と述べた」<引用終り>
今回、東北地方を襲った未曾有の地震と津波のために被災した原子炉に対する日本政府の対応をとかく批判し、自国民を日本から脱出させたりしている国々さえある中でトルコ政府のこの対応は日本人を勇気付けるものです。
日本人は今回の困難を必ず克服しトルコの日本への信頼を裏切ることはないでしょう。それも現場で危険な作業に邁進している自衛隊をはじめとする現場の人々の努力のおかげです。
決して現政府の無能・無策・場当たり対応しか出来ないスッカラカンの努力ではあり得ない。最後に日本保守主義研究会のメルマガで民主党批判の秀逸なレトリックを発見しましたので無断で引用させて貰います。
”海岸沿いに人間の鎖をズラッと並べ、見事津波を防いでみればよい。コンクリートから「人へ」という標語のとおり!”(ちゅん)
(宮崎正弘のコメント)「コンクリートから人へ」。そして誰もいなくなって。「菅災」もブラック・ジョークとしては秀逸ですが。
   
杜父魚文庫

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