7500 リビア攻撃でオバマ大統領が非難された 古森義久

米欧諸国がリビアのカダフィ政権への軍事攻撃に出たことは、アメリカでは大ニュースです。未曾有の国難に襲われた日本ではリビアといっても一般の注意はなかなか向かないかもしれません。しかし重要な動きです。
しかもその米軍をその多国籍の軍事攻撃に投入することを決めたオバマ大統領が民主、共和両党の議員たちから激しい非難を浴びています。
〔ワシントン=古森義久〕米国のオバマ大統領が米議会と協議せず南米訪問中に米軍のリビア攻撃の命令を発したことが21日、議会の民主、共和両党議員から激しい批判を浴びた。
オバマ大統領は19日からブラジル、チリ、エクアドルの南米3国歴訪に出て、同日、ブラジルで国連安保理決議に沿ったリビアのカダフィ政権攻撃を米軍に命令したことを発表した。米国大統領が米軍への戦闘命令を出す場合、近年はまず議会と協議し、命令自体は大統領自身がホワイトハウスの執務室から全米向け発表という形をとることが慣例となってきた。
オバマ大統領のこの二つの慣例を破ったことになるが、大統領側近は今回のリビア攻撃では米国は主導権を握らず、国連主体のフランスやイギリスに同調したため、こういう形式となったと説明した。
しかし米国議会では21日、まず与党の民主党の大統領候補となったこともあるデニス・クシニッチ下院議員が「米軍の若い男女を危険にさらす決定を議会にはからずに実行したことは違憲であり、弾劾に値する」と激しく非難した。同じ民主党のマイク・ホンダ、エレノア・ノートン両下院議員も同大統領が議会に事前に同意を求めなかったことは不当だと言明した。
共和党側ではまず上院外交委員会筆頭メンバーのリチャード・ルーガー議員が「大統領のリビア攻撃計画はカダフィ大佐の退陣を求めるだけでその後の政策目標がなく、そうした点を議会に示さず、しかもホワイトハウスから遠く離れた地点で米軍動員命令を発表することはあまりに支障が多い」と批判した。
下院でも外交委員長のイリアナ・ロスレイティネン議員が「カダフィ政権の自国民殺戮を防ぐという趣旨はわかるが、単に『国際社会』という名の下に米国独自の安全保障上の理由や目標を示さずに米軍を出動させ、しかも議会に同意を求めないという方法は賛成できない」と言明した。
オバマ大統領の今回の南米訪問に対しては、日本の大震災と放射能汚染の危機やリビアの危機を目前にした非常事態に近い状況下で米国を離れることは好ましくないという声が共和党主体に広範に広がっていた。
   
杜父魚文庫

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