こういうのを無責任なポピュリズム政治という。健康被害はまったく考えられないというのに、なぜ出荷停止を指示しなくてはならないのか。
食品衛生法では基準値を超えた農家を相手にした出荷停止はできるが広い地域にわたる規制はできない。だから原子力災害対策特別措置法に基づいて、福島、栃木、群馬、茨城の4県に出した。
国の指示だから、東電と国によって減収分は補償されることになるが、だからいいじゃないかという話にはならない。
福島はホウレンソウなどに特に高い数値が出たわけではない。原発に近いところが規制されないのはおかしいと判断して、対象地域に組み入れられてしまった。
この首相指示に違反したからといって、法的拘束力はないから処罰されることはない。ならば、対象地域で一斉に出荷してしまえばいい。
「国の規制はごまかしです。本当は安全なのです」といったワッペンでもつけて大々的に販売したらどうか。一生懸命につくってきた農産物や原乳が放棄されるというのは、農家や酪農家にとってみれば、地震被害に続くダブルパンチだ。
原発事故が起きて、厚生労働省はあわてて原子力安全委員会の規制数字をもとに暫定基準値を設定した。はっきりいえば、実態無視の仮想数字だ。
朝日と産経が1面トップででかでかと扱った。いずれも「人体に影響ない」といった見出しをつけている。人体に影響がないのなら、なぜ1面トップで大見出しをつけて報じる必要があるのか。
1年間、食べ続けて初めて影響が出るかもしれないという程度の基準値である。砂糖や醤油、塩だって、1年間かなりの量を摂取し続ければそれなりの影響は出る。
読売、毎日は1面2番手の抑制した扱い。日経にいたっては1面に載せなかった。この見識を買いたい。
朝日はもともと「反原発」派だから記事の扱いがこうなるのもわかる。産経はこのところ、よくこういうことがあるのだが、こういう紙面をつくった趣旨が不明だ。
「大変だ、大変だ」と大騒ぎして、冷静さを欠いたのか。むしろ、この政権の場当たり主義を批判し、政府の打ち出すことに疑念を発してこそ、本来のジャーナリズムのあり方ではないのか。
菅政権はこんなことをやっているヒマがあったら、各地の避難所へガソリンや食糧、医薬品などを少しでも多く運ぶ算段を考えたらどうか。
地震、津波発生時の死者は自然災害によるものだが、避難所に行ってからの死者は政治の無策による人災である。
杜父魚文庫
コメント
現在の食品を含めて放射線被爆基準は、極めて非科学的且政治的である。この基準は反原発活動家の顔色を伺いながら、その同調者である学者、役人、政治家が定めたものである。
これを機にまともな議論をして基準を見直すべきである。オカルト基準で野菜出荷停止では農家も消費者も迷惑する。
世界には自然放射能レベルで日本の10~100倍の線量の場所が幾つもあり、そこでは普通に人が生まれ、生活し、一生を終えている。これは基準作りではどう扱われるのか。また、これ等地域への日本人の渡航はどうなるのか。
「まあ、安全サイドだからいいだろう....」くらいの安易な決め方では国民が迷惑する。