海江田万里産業経済相が福島の原発に放水しようとする消防隊員に恫喝の言葉を浴びせたという話が広がりました。
その後に海江田氏は謝罪をしているので、取り立てて追及する必要もないかもしれません。しかしこの出来事も菅政権の体質を物語る雄弁な実例なのです。
いま国家の存亡さえ問われるときに、統治者たちがこんなふうでよいのか、という深刻な疑問へのつながっています。その顛末は以下のようです。
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■石原都知事 “恫喝”発言に抗議
東京都の石原慎太郎知事は21日、首相官邸を訪ね、菅直人首相に対し、東京電力福島第1原子力発電 所への東京消防庁の放水作業をめぐり、政府側から消防隊員に恫喝(どうかつ)まがいの発言があったと強く抗議した。会談後の石原氏の説明によると、政府側 の人物から放水準備作業中の隊員に対して「言う通りやらないと処分する」との発言があった。
石原氏は、首相に「みんな命がけで行い、許容以上の放射能を浴びた。そういう事情も知らずに、離れたところにいる指揮官か誰か知らないが、そんなばかなこ とを言うのがいたら戦(いくさ)にならない。絶対そんなこと言わさないでくれ」と注文、首相は「大変申し訳ない」と陳謝した。
石原氏は記者団に「処分するという言葉が出て、隊員は皆、愕然(がくぜん)とした。(現場の)指揮官は、それが一番不本意だったと言っていた」と述べた。真相は不明だが、都関係者によると「処分」と発言したのは海江田万里経済産業相だという。
また、長時間の放水で、放水車が一部故障し、以後の作業ができなくなったことも明らかにした。
これに関し、枝野幸男官房長官は21日夕の記者会見で「菅直人首相は、事実関係を把握し、善処が必要ならば政府として対応する、と(石原知事に)言った」と説明した。
一方、首相は、その後開かれた政府の緊急災害対策本部と原子力災害対策本部の合同会議であいさつし、「知事に私から改めてお礼を申し上げた」と述べた。また、「消防は国直属の機関ではなく、自治体や消防職員のボランティア精神で応援に駆け付けてくれた。命をかけて日本や国民を救うために努力されたことが、 少しずついい方向に進む大きな力になっている」と称賛。ただ、知事からの抗議には触れなかった。
■処分発言 海江田氏が謝罪
海江田万里経済産業相は22日の記者会見で、東京電力福島第1原子力発電所への放水作業を行った東京消防庁の消防隊員に対し、「言う通りやらないと処分する」と恫喝(どうかつ)まがいの発言をしたとされる問題について、「消防の方が不快な思いをされたのなら、申し訳なく思う」と謝罪した。
同時に「直接現場と話したわけではない」と述べ、直接、隊員に言ったとされる点については否定した。ただ、誰にどのような言い方をしたかは「こういう時期なので事実関係の詳細は控えたい」「事実の混同がある」「言った言わないになる」などと述べ、明らかにしなかった。
この問題は東京都の石原慎太郎知事が21日に首相官邸を訪ね、菅直人首相に抗議したことから発覚。首相は「大変申し訳ない」と陳謝している。石原氏によると、長時間の放水で放水車が一部故障し、以後の作業ができなくなったという。
海江田氏は周囲に「自分が処分できるはずもない。内輪の話だ」と漏らしている。詳細は不明だが、海江田氏が直接、隊員に語った言葉ではなく、内々の場で思わず口がすべったものが間接的に隊員に伝わった可能性がある。
杜父魚文庫
7516 海江田大臣の消防隊員脅し 古森義久

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