7556 「カンホン」やってるヒマがあるのか 花岡信昭

民放テレビのニュースで、被災現地の市長や町長に、菅首相が直接電話をしていることを知った。その首長にテレビ側がインタビューしているところへかかってきたのだ。
「いま一番必要なものは何ですか」といった内容だったらしく、その首長は仮設住宅の早期建設への配慮を求めていた。
現職首相が電話をかけまくるのは、小渕恵三氏が有名で、「ブッチホン」といわれた。それを引けば、「カンホン」か。
「ブッチホン」は筆者も何回か経験がある。「小渕恵三でーーす」といきなり電話がかかってくる。たいていは署名記事への感想が中心だったが、ほかの人に聞いても「ブッチホン」は好意的に受け止められた。小渕氏のほんわかとした人柄があらわれていたからだ。
いま、菅首相は「カンホン」をかけまくる余裕などあるのか。それも、いま何が必要かなどという当たり前の質問では、一生懸命やってますというアリバイづくりが目的かと思われてしまう。
ときどき、国民向けメッセージを一方的に出すだけで、記者団とのやりとりも回避している菅首相だ。
いま最も必要なのは、戦後最大級の大惨事に遭遇して、政治のトップが国民の信頼を得ることだ。「カンホン」がその役割を果たすとは思えない。
何をやらなければならないか、被災地は何を望んでいるか、といったことはすでに周知の事実だ。「3・11」から2週間以上も過ぎて、いまだにガソリンも食料も医薬品も満足に届けられていない。
およそ、先進国では考えられないお粗末な対応が続いている。その責任はむろん最高指導者たる首相にある。天災から「人災」に移行しつつあることをはっきりと認識すべきだ。
救援体制をどう完備させるか、その総合的なプランを立てて、政治の力によって実現させていく。さらに、今後の壮大な復興計画をどう立てていくか、それをどう現実的に進めていくか、国中がそのビジョンを求めている。
これに応えるほうが先決だろう。「カンホン」がいまの首相の最優先の仕事とは思えない。
杜父魚文庫

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