ここにきて韓国紙が一斉に北朝鮮の「白頭山」の噴火予測を取り上げている。白頭山は10世紀に過去2000年間で世界最大級とも言われる巨大噴火を起こしたといわれている。その火山灰は偏西風に乗って日本の東北地方にも降り注いだ。
また最近9世紀にもかなりの規模の噴火があったことが明らかになりつつあり、この噴火と渤海国滅亡との因果関係が指摘されている。北朝鮮にとっては金日成が白頭山山麓の針葉樹の密林で、抗日ゲリラとして戦ったことから、聖地とみなし金正日総書記が白頭山で生まれた説をとっている。
しかし白頭山の歴史と伝説はもっと古い。中国の文献では清朝の祖である満州族(旧女真族)の聖地であったとしている。女真族の金は、1172年には白頭山に住む神に「興国靈応王」の称号を贈り、1193年には「開天宏聖帝」と改めている。清も金と同様、白頭山に対する毎年の典礼を行った。
清朝の歴史書『満洲実録』によると、清朝の皇室愛新覚羅氏の祖先は長白山の湖で水浴びをしていた三姉妹の天女の末の妹が、天の神の使いのカササギが運んできた赤い実を食べて妊娠して生んだ男の子ブクリヨンションであるとしている。
また李氏朝鮮の頃には1579年、1668年、1702年に白頭山で噴火があったと記録されている。
<29日、白頭山(ベクドゥサン)火山に関連し、南北協力事業について議論する専門家会議が開かれ、白頭山の噴火の可能性や噴火の際の北朝鮮社会に及ぼす影響を巡り関心が高まっている。
現在、大半の国内地質や火山専門家らは、「今後、白頭山から火山が爆発する可能性がある」と分析している。活火山である白頭山は、946年を皮切りに1688年や1702年、1903年の4度にわたり、爆発した前例がある。
白頭山から火山が爆発すれば、金正日(キム・ジョンイル)政権は甚大な打撃を受けるという見方が出ている。釜山(プサン)大学・地球科学教育課の尹成孝(ユン・ソンヒョ)教授は、「白頭山がかつて4度爆発した規模で噴火した場合、白頭山が属している行政区である兩江道(ヤンガンド)を始め、咸鏡北道(ハムギョンブクド)や咸鏡南道など周辺地域の自然環境はもとより、建物や道路などのインフラが火山灰により壊滅する可能性が高い」と見込んだ。噴火の際、500~700度の火砕流(火山灰や煙、岩石などが入り混じった物質)が、白頭山を中心に半径60キロまで広がり、周辺の動植物が全滅するという分析だ。
消防防災庁傘下の国立防災研究所の関係者は、「直径12キロに平均深さ213メートルの白頭山の天池(チョンジ)が爆発すれば、その中の水20億トンが溢れ出し、1時間後には、鴨綠江(アブロクガン)や豆滿江(トゥマンガン)流域が水没するだろう」と見込んだ。
噴火後は、深刻な冷え込みが予想される。最近、国立環境科学院が発表した、「白頭山の爆発の際のシミュレーション分析」の結果によると、白頭山が噴火した場合、火山から噴出した硫酸化物(溶岩ガスや火山灰にある硫酸粒子が混じった物質)が太陽光を反射し、朝鮮半島周辺の気温が2ヵ月間、約2度下がるものと見られる。それによる大規模な人命被害や難民発生により大規模な脱北者が発生する可能性も排除できないと専門家らは警告した。
東国(トングク)大学・北朝鮮学科の金榕炫(キム・ヨンヒョン)教授は、「現在の経済難や食糧難で自然災害にまで気にかける余裕がない現状で、白頭山が噴火すれば、北朝鮮体制の維持に負担になる災害水準になるだろう」と話した。(東亜日報)>
白頭山 (はくとうさん)=、別名、長白山(ちょうはくさん)は、中国吉林省と北朝鮮両江道の国境地帯にある標高2,744mの火山。
頂上には「天池(チョンジ、ティエンチ 朝鮮語:천지)」と呼ばれるカルデラ湖がある。満州を潤す松花江、および中国と北朝鮮の国境である鴨緑江・豆満江はこの山を源と発している。山麓は、朝鮮側は朝鮮半島の摩天嶺山脈などの高原地帯、中国側はなだらかな傾斜が東北平原まで続く。
古くは「太白山」とよばれた。満州語でゴルミン・サンギヤン・アリン(Golmin Šanggiyan Alin、「どこまでも白い山」。漢字で「長白山」と書くのはこれを直訳したものである)。中国名で長白山(ちょうはくさん。中国語:长白山/長白山 チャンパイシャン、Chángbáishān)。朝鮮名で白頭山(はくとうさん、ペクトゥサン。朝鮮語:백두산・簡体字: 白头山)。
なお、北朝鮮でも「金日成将軍の歌」など、金日成が関連する場合、長白山(チャンベクサン)の名称を用いることがある。(ウイキペデイア)
杜父魚文庫
7558 聖地・白頭山で噴火があれば北朝鮮政権に甚大な打撃 古沢襄

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