福島原発の事故は証券市場にも影響を及ぼしている。東京電力の株価は上場以来の最安値を更新し、東日本大震災前の株価のほぼ6分の1。安定株として東電株を保有していた金融機関にも影響が及び、銀行株にも業績悪化の懸念が波及、連動して売られる展開となっている。
<5日の東京株式市場で、原発事故の収束にめどが立っていない東京電力の株価が前日比80円安の362円と、59年ぶりに上場以来の最安値を更新した。福島第1原発の事故により、放射能汚染水の海への放出や、避難住民に対する賠償額の一部の仮払いの動きなどが嫌気され、5日も制限値幅の下限(ストップ安)までじりじりと値を下げた。
東日本大震災前の3月10日に2153円だった株価は、ほぼ6分の1となった。東電の国有化観測も売りを誘い、「日本航空の経営破綻と同様、株の価値がなくなるとの懸念から売り圧力が強まった」(大手証券)という。(時事)>
<[東京 5日 ロイター]福島原発の事故を受けた東京電力の売りに、歯止めがかからない。東日本大震災前の水準から実に80%近く下げ、きょうは1951年12月の上場以来、59年8カ月ぶりに安値を更新した。
三菱UFJフィナンシャル・グループなどの金融機関は、ボラティリティが比較的小さいことで東電株をはじめとするエネルギー関連株を保有しており、東電株の下落を受けて銀行株にも業績悪化の懸念が波及、連動して売られる展開となっている。
きょうの取引では、東京電力の急落が目立っている。株価は1951年12月に付けた上場来安値393円を下回り、一時370円まで下げた。同社は福島第1原発から放射性物質を含む水約1万1500トンを数日かけて海に放出すると発表。こうした問題への懸念もあり、日本株は序盤から全般的に売り優勢となった。
震災後には東電売り/関西電力買いといった動きもみられたようだが、足元では東京ガスなど電気・ガスのエネルギー関連は、投資判断引き下げを背景に軒並みマイナス圏に下落している。
ムーディーズ・ジャパンは3月28日、電力会社8社と東京ガスの長期格付けを引き下げ方向で見直し、大阪ガスの格付け見通しを安定的からネガティブに変更したと発表した。地震と津波が与えている、日本の電力・ガスといった公益事業セクターへの長期的な影響のほか、厳しい経済環境下でコスト上昇を料金に反映させるのにタイムラグが生じるリスクから、収益の圧迫が予想されることなどの要因を考慮した。
金融機関は東電をはじめエネルギー関連株を保有していることから、エネルギー関連株の下落に連動しているという。
特に、最近の東電株の大幅安により、金融機関の業績に数%規模の影響があるとの見方が市場参加者の間で広がっており、足元では銀行株の売り手掛かりとなっている。これが証券や保険などの売りに波及し、金融株全体を押し下げた。株価指数の下げ幅は日経平均株価1.5%に対し、TOPIXは2%程度。
邦銀系の株式トレーダーは、目先の東電株の値動きについて「上場来安値を更新したことで下値めどはなくなり、どこかのソブリンファンドが入ってくるまでだらだら下落するだろう」と予想する。(ロイタ)>
杜父魚文庫
コメント