7608 大連立白紙 自民「健全野党」を明確化 古沢襄

予測通り大連立は白紙となった。自民党の谷垣総裁は5日午後、都内で小泉元首相と会談、小泉氏は「今は健全な野党の在り方をしっかり発揮すべきだ」との見解を示した。谷垣氏は「全くその通りだ」と応じた。
海部元首相も同日、谷垣氏に「政策が一緒にならなければ連立はできない」と政策合意なき大連立に否定的な考えを伝えた。谷垣氏が”健全野党”を掲げたことで、大連立実現の可能性が消えた。
この背景には民主党の働きかけが仙谷官房副長官と大島副総裁のルートと岡田幹事長ルートで違いをみせたことに、自民党側が不信感を持ったことがある。
仙谷ルートは菅首相の辞任や子ども手当などの主要政策で見直しに幅をみせたのに対して、岡田ルートは首相辞任をはっきりと否定。これを民主党内で主導権争いが起こっていて、意思統一がされていないと谷垣氏が最終判断した。公明党も大連立には否定的である。
自民党幹部は5日夜、記者団に対し、民主党との大連立は菅首相が近い将来辞任することを明確にしたうえで、政府・民主党が子ども手当などの主要政策を撤回するぐらいでなければ実現しないと明言した。
<東日本大震災の復興対策の本格化を控え、民主、自民両党で再燃した「大連立」は、自民党の谷垣禎一総裁が5日「健全野党」を掲げたことで、実現の可能性が消えた。森喜朗元首相や古賀誠元幹事長らベテラン議員からは大連立を促す発言が相次いでいたが、党内には「菅直人首相の退陣が連立の条件」との強硬論が根強く、民主党への不信感は解消されなかった。
谷垣氏は3月19日、菅首相からの入閣要請を「唐突だ」と断ったが、一方で「連立には政策の前さばきがなければならない」と含みを残したため、両党の間ではその後も大連立論がくすぶり続けた。だが、自民党のある閣僚経験者は「民主党は『菅首相を辞めさせ、谷垣首相、仙谷由人副総理』という案を持ちかけてきたが、首相は辞めないだろう」と語る。「谷垣首相」なら大連立に応じたが、その可能性はなくなった--という解説だ。
一方、中堅・若手議員には大連立への慎重論が強い。若手議員は「中堅・若手は裏工作より、政策論議を重視している」と、谷垣氏の決断を評価した。
ただ、総額で10兆円を超えるとされる数次の11年度補正予算案編成で、財源問題が焦点になるのは確実だ。自民党は11年度予算関連法案のうち、赤字国債発行を認める特例公債法案への反対方針を変えていないが、同党が「健全野党」を標ぼうすれば、いずれは政権への協力か対決かの難しい判断を迫られる。
一方、公明党の山口那津男代表は5日の会見で「震災を乗り越えるのに、大連立が最もいい形かどうかは検討の余地がある」と慎重姿勢。同党は一貫して大連立に距離を置いてきた。今回の自民党の判断には、国会で連携してきた公明党への配慮もあるとみられる。【毎日=中田卓二、岡崎大輔】>
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