党内で野党化した民主党の小沢グループは大連立に否定的。現状なら半数に近い勢力を維持しているが、大連立で自民党と公明党が政権に加われば、相対的に小沢グループの勢力が削がれる。菅・仙谷・岡田の主流派はそれを見越して、小沢グループを干すことに余念がない。
5日の党常任幹事会で小沢系の川内博史衆院議員が仙谷党代表代行に噛みついた。それを長老格の渡部恒三最高顧問が「岩手県民の思いを受け止めて、しっかりと小沢君が働けるようにしたい」と取りなす場面もあった。しかし亀裂は深まるばかり。
<東日本大震災をきっかけに民主、自民、公明の3党の「大連立」構想をめぐる駆け引きが活発化する中、民主党の小沢一郎元代表を支持するグループが埋没への危機感を強めている。復旧・復興政策にも、菅直人首相や仙谷由人官房副長官(党代表代行)が主導する大連立構想にも関与することができず、孤立感は強まる一方だ。(坂井広志)
5日の党常任幹事会は険悪なムードに包まれた。
「岩手には小沢一郎という人がいる。震災対応にしっかり取り組むためにも党員資格停止処分に対する不服申し立てに結論を出してほしい」
被災地・岩手出身の小沢氏の「出番」を訴えた川内博史衆院議員の目に留まったのは、党内で脱小沢路線を主導してきた仙谷氏の含み笑い。
「なんでそんなバカにしたような顔をするんですか!」。思わず激高する川内氏。長老格の渡部恒三最高顧問が「岩手県民の思いを受け止めて、しっかりと小沢君が働けるようにしたい」と取りなし、何とか事を収めた。
首相は震災後、仙谷氏や馬淵澄夫氏らを官邸入りさせ、復旧・復興に向け態勢強化を図ったが、小沢系排除の姿勢に変化はない。
「1週間以内に菅さんは辞めてほしい」「この1、2週間が勝負だ」
国会内で5日開かれた小沢系の議員グループ「一新会」の定例会。出席者からは公然と首相退陣論が噴き出した。議員らの脳裏にあるのは、震災前には青色吐息だった首相が、大連立構想を延命材料にしようとしているという疑念だ。
一新会事務局次長の松木謙公前農水政務官は定例会後、記者団にこう語った。
「大連立しなければ復興ができないなら、大連立すればいい。誰かさんの延命のためにやるのであれば、たまらない」
松木氏は、岡田克也幹事長が4日の記者会見で「大連立の最大の意義は衆参のねじれを解消すること」と述べたことについても、「結局は自分の延命のためで、震災のためではないというのが正体だ」と批判した。
小沢グループにくすぶる怒りといら立ち。小沢氏は裁判確定までの党員資格停止処分を下されていることもあり沈黙を保っているため、グループは戦略を打ち立てられずにいる。
震災発生後に官邸入りして復旧・復興政策で注目されているのはいずれも非小沢系。小沢グループの出番はないに等しく、一新会や衆院1年生議員で作る小沢氏支持グループ「北辰会」は被災地で支援活動に努めるなど独自路線を貫く。
大連立が実現すれば、党内最大勢力の同グループの力が相対的に低下するのは免れないが、側近の一人は「小沢さんは、首相には大連立も原発対応もできないと思い、熟れた柿が落ちるのを待っている」と語る。小沢氏は周囲に「原発がこのままでは日本は沈むぞ」と政権への懸念を示しているという。(産経)>
杜父魚文庫
7611 大連立に埋没する危機感持つ党内野党の小沢系 古沢襄

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