各紙とも統一地方選前半戦の民主党大敗を受けて、執行部の責任論を取り上げている。枝野官房長官は菅首相の辞任を否定したが、民主党内からは岡田幹事長の辞任論が出ている。このため党執行部は五月の連休明けに地方県連代表を集めた総括会議を開く方針を十一日決めた。
<統一地方選前半戦の民主党敗北をうけ、党執行部は11日、5月の連休明けに地方県連代表を集めた総括会議を開く方針を決めるなど、対応に追われた。枝野幸男官房長官は同日午前の会見で「民主主義のルールに基づいて、菅直人首相が職責を与えられているので、職責を果たしていく」と首相辞任を否定したが、首相の求心力がさらに低下するのは必至だ。岡田克也幹事長の地元・三重県知事選の敗北にも衝撃が広がり、小沢一郎元代表のグループからは岡田氏の辞任論も出ている。
首相は震災1カ月を迎える11日、震災の復旧・復興計画を検討する「復興構想会議」を発足させるが、統一選敗北は震災や原発事故での菅政権の対応が評価されていないことをあらわにした。政府筋は「政権運営には大打撃だ」と語った。
与党・国民新党の下地幹郎幹事長は「大胆な人事と政策の見直しの必要性を国民から突きつけられた」として、政権の震災対応に問題があると指摘した。民主党幹部は「他党に人事を言われる筋合いはない。地方議員には悪いが、いまは補正予算が重要で責任論どころではない」と不快感を示した。だが、党静岡県連会長の牧野聖修衆院議員は11日午前、静岡市内の記者会見で「統一選の惨敗をみれば岡田氏は出処進退を考えるべきだ」と語った。
小沢元代表のグループは岡田氏が元代表の処分を主導した経緯もあり、岡田氏に狙いを定めて攻勢をかける。グループ幹部は「幹事長が震災を選挙の敗北の言い訳にするのはおかしい。執行部体制の再構築が必要だ」と岡田氏の辞任を求めた。ただ小沢元代表は裁判を控えて動きにくい。党選対幹部は「執行部批判の中心勢力がいないから大きな動きにはならない」との見通しを示した。
自民党は11年度第1次補正予算案の編成に協力する姿勢は変えていないが、山本一太参院政審会長は11日午前、毎日新聞の取材に「財源論で注文は厳しくなる」と話した。党内には基礎年金の国庫負担分2.5兆円を補正財源に回すことへの異論が強く、統一選の結果を受けて与野党協議でハードルを上げる可能性も出てきた。ただ、自民党も、当面は民主党と対決色を強めるのか、「菅降ろし」に乗じた大連立に余地を残すのかという路線は定まっていない。
一方、公明党の山口那津男代表は同日午前の会見で「(政府・民主党の)震災対応への取り組みに厳しい評価が行われた。これからは野党の主張が強くなるので、与党として謙虚に政権運営しなければ、道行きは厳しい」と菅政権をけん制した。(毎日)>
<第17回統一地方選の前半戦での民主党敗北を受け、党内から11日、菅首相や岡田幹事長の選挙手腕を疑問視する声が相次いだ。首相のさらなる求心力低下は必至で、東日本大震災から1か月を迎え、政権運営は一段と厳しさを増しそうだ。
枝野官房長官は11日午前の記者会見で、菅首相の責任論について「民主主義のルールに基づいて菅首相が職責を与えられており、その職責を果たすことに全力を挙げるのが筋だ」と語り、首相の退陣を否定した。首相は記者団の問いかけには無言で、険しい表情のまま首相官邸入りした。
岡田氏は11日午前、国会内で安住淳国会対策委員長らと会談し、統一地方選の総括のため、「5月に全国幹事長会議を開きたい」と述べた。午後の党役員会では態勢立て直しを協議する。参院幹部は「今は党内でごたごたしている場合ではない」と述べた。
しかし、国政での与野党対決型の知事選では、首相のおひざ元の東京と岡田氏の地元・三重で敗北しており、「執行部の責任論が公然と出るのは避けられない」(党中堅)との見方が出ている。(読売)>
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