中国の科学・技術の大発展についてアメリカ議会の機関が報告書を公表しました。長文150ページほどの報告書です。
なかでも日本との関連で注視されるのは、日本の重工業企業、造船企業の提供する技術が中国海軍の艦艇建造に大きく役立っている、という指摘です。
=======
〔ワシントン=古森義久〕米国議会諮問機関の「米中経済安保調査委員会」は20日、中国の科学・技術近代化計画についての報告を公表し、中国が兵器類の性能を高める軍事高度技術を外国から違法に大規模取得していることへの警告を発した。
同報告は中国が軍事、非軍事の両面で科学・技術の飛躍的な発展を目指し、とくに軍事面ではここ10年に「目をみはる進歩」があったと強調し、その具体的結果として衛星破壊ミサイル、対艦弾道ミサイル、無人軍用機、第五世代戦闘機J20をあげ、そのいずれもが米軍を標的としていると述べた。
同報告によると、中央軍事委と国務院に直結する国防科学技術工業委員会(COSTIND)が近年、権限を大幅に強化され、人民解放軍と防衛産業とを包括して、軍事技術の開発に集中するようになった。その重点はとくに指揮・統制、通信、情報監視、偵察、航空、宇宙、情報技術などにおかれた。
同報告は米国当局が中国をこの種の軍事技術を外国からスパイや盗みやサイバー攻撃という違法手段で取得する世界最大の脅威とみなしている点を明記し、この数年間でも「中国の工作員が米側の宇宙飛行技術、ミサイル技術、レーダー、電子戦争技術、軍艦データ、無人飛行機技術、熱イメージ・システム、暗視システムなどを実際に不法に取得し、あるいは取得を試みた」として約10件の検挙例を列記した。この種の軍事関連技術の中国による違法取得は米側に年間数千億㌦の損害を与えているという。
同報告はまた中国当局がここ数年、米国の政府、軍部、防衛産業から情報を盗むためコンピューター・システムに侵入するサイバー攻撃を実行していると述べ、実例として主要企業のノースロップ・グラマン社からの被害の報告を紹介している。
同報告はまた中国がCOSTINDの指導下に外国の民間企業からの軍事汎用技術を組織的に軍事利用していると述べ、その一例として「日本の三菱重工、川崎重工、IHI、住友重工、日立造船などが大連などで中国の造船事業に加わり、その代償として中国側に移転する高度の造船技術が中国海軍の艦艇建造に重要な利益をもたらしている」と指摘した。
杜父魚文庫
コメント