7753 「グアンタナモ・ファイル」の怪 宮崎正弘

「グアンタナモ・ファイル」がウィキリークスによって暴露されたが、想像を絶する混乱と乱雑と杜撰。米軍の恥部も明るみに出た。
ウィキリークスが暴露した「グアンタナモ・ファイル」は4月25日に世界中のマスコミが大きく伝えた。相変わらず軽視したのは日本のマスコミだが、これはいつものことで世界情勢の裏側を知りたいという意欲に欠けるからだろう。
さて「グアンタナモファイル」とは何か?
グアンタナモはキューバにある米軍の刑務所、ここにアフガニスタン、パキスタン国境で拘束された「アルカィーダ」と『タリバン』の容疑者およそ1000名が取り調べを受けた。
『ペンタゴン・ペーパー』に匹敵するほど深刻な機密情報が詰まっているかといえば、そうでもない。ただしグアンタナモ基地に於ける、米軍の想像した以上の杜撰な管理、混乱の極みに陥っていた取り調べ、その無軌道と右往左往ぶりは、米軍のアキレス腱をあぶり出したと言える。
第一に700の個人ファイルから浮かび上がったのは、150名がまったく無実の罪で拘束されていたこと。
なかにはアルジャジーラの通信技術者、設備担当専門家のサミ・アル・ハジがアルカィーダの通信技師と疑われて六年間もグアンタナモ刑務所に留め置かれ取り調べを受けていた事実(サミは現在、アルジャジーラに職場復帰している)。かれはチェチェン、コソボなどに従軍記者なみにアルジャジーラの通信設備を運んで設置したため、その渡航歴から疑われたのだ。
▼タリバン幹部の偽装を見抜けず
第二に完全にクロと判明したのは130名、不明が172名(まだ拘束中)、あとは604名が釈放され、世界各地に届けられたこと。
しかし、このなかにはアルバニアに亡命したウィグル人五名、カンボジアに逃れて亡命が認められそうになったおり中国政府の圧力にまけて、カンボジアからふたたび中国へ送られたウィグル人が数名、パプア・ニューギニアに新天地を求めたアフガニスタン人なども含まれた。
第三に、最悪の失敗例が含まれていた。ムハメッド・アラム・シャハは十代のときに片足を失った。2001年にタリバン容疑者として拘束され、ずっと「自分は運転手に過ぎず、タリバンにつかまった弟を助けようとして運転したところだった」と言い張った。
グアンタナモ基地で治療に当たった米軍医師は、「片足の喪失は彼の供述に一致し、米軍あるいは米軍の同盟軍への危害をくわえる可能性はない」と判断され釈放、アフガニスタンへ2004年に送還された。
アラム・シャハは、帰国後ただちにタリバンへ復帰し、タリバン名の「アブドラ・メスド」を名乗って反米闘争に参加を呼びかけるヴィデオに登場した。彼はタリバンの幹部だった。
聖戦を獅子吼し、その後アフガニスタン各地で内務相談殺害テロ(31名が犠牲)や中国人エンジニア二名の誘拐に加わり、07年に自爆テロで戦死した。かれは殉教者として奉られた。
このほか数十名のタリバン戦士のプロファイルをウィキリークスは暴露しており、NYタイムズが大々的に報道している(4月26日付け)。日本のマスコミは、まるで興味がなく今日もフクシマ原発の誇大過激報道を30キロ離れた地点から流し続けている。
  
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  読者の声 どくしゃのこえ ドクシャノコエ DOKUSHANOKOE
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(読者の声)貴誌前号で指摘された東電株を買い占める某国のこと。本当に中国の動きは無気味です。一介の民ながら、東電株(他の株式も同じですが)の乱高下に一喜一憂しています。私は、東電が300円を割り込んで暴落した時、某ブログに次の様な警告を込めた内容で投稿し警告を発して頂きたいとお願いしました。
その翌日に投稿文は掲載されたのですが、その日から急回復し、額面価格に戻したのです。しかし長続きせず、その後、再び額面割れしています。
投稿文で指摘した内容は、「東電株の暴落で同株式を隣国に買い占められたならば、日本の首都・東京はインフラの根幹を左右され、国家の喉首を真綿で締められることになる。従ってこれ以上の暴落を手を拱いて傍観してはならない。有識者に呼びかけ、証券業界、機関投資家、電力各社が結束して買い支えるべく警鐘を鳴らしてほしい」と緊急提言のお願い投稿をしました。
更に、某株式投資顧問会社にも同様の投稿をしたのですが、この会社は、<貴殿の意見は”負け犬の遠吠え”的な類のもの、メキシコ湾岸地域のハリケーンやハイチ地震で彼の地がどうなっているのか知っているか>等と意味不明の内容で反論メールが送信されてきました。
彼らは日本の国益など歯牙にもかけない隣国贔屓の反日集団と判明した。杜撰でお粗末極まりない東電の経営陣は糾弾されるべきであるけれども、日本の国益を考えれば、東電を非難するばかりが正論ではなく、経営陣を刷新して早急に経営を立て直すのが急務であると言うのが私の考え、東電株の乱高下は主宰者様のご指摘の通りであったと推測しますが、現在は、電力各社も水面下で買い支えに協力しているものと信じています。
東電の損害保障負担金を電力各社が分担すべきであるとの政府案も急浮上していますが、この政府案は即実行に移すべきであると確信します。東電の現状は”日本の政管癒着の縮図”でしょう。(一読者) 
(宮崎正弘のコメント)風評被害で最悪の被害者のひとりは東電株主です。
 
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(読者の声)「空売り」とは株を証券会社から借りてそれを売る。取引先の証券会社が持っていないばあい、他の証券会社から借りるので5万ドル以上が条件で、マージン買いは出来ない上に、高い手数料を取られるのです。
さらに借りられない場合もある。東電株はストップ安が続いたのです。すると。空売りは、津波が起きた瞬間にショートで売ったものだけですよ。東電株をチャイナ筋が買っている? 情報がどこから出ているか怪しいですよ。とにかく買えば、間違いなく大損します。(伊勢ルイジアナ)
杜父魚文庫

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