民主党内の反菅グループの動きについて、各社とも夜回りの補強取材のうえで観測記事を書いているが、朝日と産経の記事が読ませる。
朝日は「民主の反菅勢力、両院議員総会を要求 中間派も政権批判」の見出しだが、菅首相に対する批判が中間派に広まっていると報じた。これは野党提出の内閣不信任案に党内から同調するのはハードルが高いとみて、執行部の責任を両院議員総会の開催に活路を見いだそうとしていると読む。
産経(夕刊フジ)は「民主・公明の大連立構想も 鳩山前首相、田中真紀子氏ら菅降ろしへ“総決起”」の見出し。こちらの方は「菅降ろし」への参加を迷う民主党議員への強烈なエサとして、公明党との連立を切り札にしているとみる。
いずれも菅政権打倒の多数派工作が焦点になったと解説している。
<菅直人首相の退陣を求める民主党内の勢力が、統一地方選敗北の責任を問う両院議員総会の開催に活路を見いだそうとしている。野党提出の内閣不信任案に同調するのはハードルが高いためだ。ただ、首相を追い込む決定打にはなりそうにない。
小沢一郎元代表に近い山岡賢次副代表らが26日開いた勉強会「震災に対応できる連立政権に向けた総調和の会」には鳩山由紀夫前首相、原口一博前総務相、田中真紀子元外相ら64人が参加。両院議員総会の開催を求める署名活動を始めた。
鳩山氏は「己を捨てる覚悟を持った集団をつくりたい。国民の暮らしを第一に考える政治を取り戻す行動を起こさなければならない」と強調。原口氏も「多くの同志が議席を得られなかった責任を誰が取るのか」と述べた。
山岡氏は会合後、岡田克也幹事長を訪ね、両院議員総会の開催を求めた。岡田氏は所属議員の3分の1の署名が集まれば党の規約に従って開催する意向を伝える一方、「党内政局みたいになると、党のポジションを弱くする」と牽制(けんせい)した。
中間派の会合でも首相批判が続く。小沢鋭仁前環境相は25日夜、自身のグループ会合で「選挙の敗北は執行部がキチッと責任を取るべきだ」。樽床伸二元国会対策委員長は26日、自らのグループ会合で首相を批判し、「挙国、挙党態勢を作るために中間派と言われる我々の行動が大切になっていく」と結束を訴えた。
一方、旧民社党系の平田健二参院幹事長は26日の記者会見で「大震災の復旧復興、原発が安定するメドが立つまでは代表交代の議論がなされないほうがいい」と指摘。ただ統一地方選の責任については「役員を辞任することが一番わかりやすい」とも語った。
反菅勢力内では、両院議員総会で菅代表を解任する規約改正を行う案などが浮かぶ。ただ実現性は乏しいと見られる。党内の亀裂を広げるだけに終わる可能性もある。 (朝日)>
<民主党と自民党が26日、菅直人首相の退陣を目指して同時多発的に決起した。東日本大震災や福島第1原発事故に迅速に対応できず、統一地方選で大敗を喫しながら、官邸居座りを決め込む菅首相を「内と外から攻め立てる構図」だが、思惑は微妙に異なる。自民党内に根強い剛腕・小沢一郎氏へのアレルギー。こうしたなか、民主党と公明党の大連立構想が一気に浮上してきた。(夕刊フジ)
野党第1党の自民党は26日午前8時から、衆院愛知6区補選と統一地方選を受け、党本部で「全議員・選挙区支部長懇談会」を開き、谷垣禎一総裁を中心に今後の菅政権への対応をめぐり意見交換。
党内では「(選挙結果からも)菅首相は国民の信を得ていない。震災復興を任せることはできない」との意見が大勢。GW明けの第1補正予算成立後を見据え、内閣不信任決議案や首相問責決議案提出の策を練る。
一方、与党・民主党からも倒閣の動きが出てきた。
山岡賢次副代表ら小沢一郎元代表に近い反執行部系議員が同日午前10時半から、国会内で「震災に対応できる連立政権に向けた総調和の会」の初会合を開催。菅首相の震災対応を批判する、事実上の退陣要求集会だ。
呼び掛け人には山岡氏のほか、鳩山由紀夫前首相側近の中山義活経済産業政務官、平田健二参院幹事長らが就任。顧問には鳩山氏、田中真紀子元外相、平野博文元官房長官、原口一博前総務相らが名前を連ねている。
出席を促す趣意書は「菅政権が国民の支持を失っているのは明らかだ。野党との調和が可能な体制に民主党をつくり替え、公明党との連携を軸とした連立政権を構築しなければならない」と首相交代を求めている。
趣意書にわざわざ「公明党との連携」と記したのは、自民党内に根強い「小沢アレルギー」を意識したとみられる。自民党の石破茂政調会長は23日、自身のブログに小沢氏との連携について、こう記している。
「『国民の生活が第一』といういかさまのスローガンを掲げて議席を簒奪し、国連に自衛隊を差し出せば憲法九条はクリアできるなどという暴論を振り回し、天皇陛下も自らの思いのままという天をも恐れぬ発想をして恬として恥じないような人物とどうして組めるのか」
参院定数は242議席で、過半数は122議席。民主党(105議席)と公明党(19議席)が連立すれば124議席となり、衆参ねじれを克服できる。趣意書の一節は、「菅降ろし」への参加を迷う民主党議員への強烈なエサといえそう。
ただ、公明党の山口那津男代表は今年1月、小沢氏が強制起訴された際、「出処進退は自ら決断すべきだ」と議員辞職を求めている。小沢色の強い政局に乗れるのか?
政治評論家の小林吉弥氏は「総調和の会は、先々を見据えている」といい、こう解説する。
「菅首相退陣はもはや既定路線と位置づけ、新しい首相が衆参ねじれを解消するために『自民党とは厳しいが、公明党ならば連立できる』と訴えている。公明党も菅首相とは組めないが、民主党とは政策的に近く、体裁のいい新首相ならば十分組めるはず。小沢氏は裏に潜って調整役に徹する。GW明けに一気に進む可能性がある」
果たして、国民はこれを望んでいるのか!?(産経)>
杜父魚文庫
コメント