米国のカーター元大統領は26日、北京から北朝鮮の平壌入りをした。しかし韓国政府は「あくまで個人的な訪朝なので、それほど期待はしていない」と冷淡である。韓国世論も関心がない。
米ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、訪朝に先立つ25日、北京で記者会見したカーター氏は北朝鮮の食糧不足がどの程度深刻か評価するために招待されたと指摘した上で、同国の食糧不足を解消できるよう他国の支援を取り付けられるよう願っていると述べた。
何のことはない。北朝鮮に対する食糧支援のプロパガンダでカーター訪朝ということでは、韓国はもちろん国際社会の共感を得るのは難しいのではないか。
<外交通商部(省に相当)の金星煥(キム・ソンファン)長官は26日、米国のカーター元大統領(86)が北朝鮮を訪問し、金正日(キム・ジョンイル)総書記からのメッセージを韓国政府に伝える可能性について「(南北の間には対話のチャネルが存在するため)北朝鮮があえて第三者を通じて韓国側と話をする必要はないと思う」とコメントした。金長官は定例会見で「われわれはすでに、複数の対話ルートを北朝鮮との間で確保している。北朝鮮もメディアを通じて“わが民族同士”などと言っているではないか」とも述べた。
金長官がカーター氏を「第三者」と呼び、上記のような発言を行ったのは「金総書記がカーター氏を通じていかなるメッセージを伝えてきたとしても、それを重視することはない」という韓国政府の考えを示したものだ。
金長官は、カーター氏の訪朝によって得られる成果についても「現時点ではそれほど期待していない。北朝鮮があえて民間人を通じてわれわれにメッセージを伝える必要があるとは考えられないからだ」などと述べ、無関心を装った。さらに「今回の訪朝はあくまで個人的な次元であり、(米国)政府と何らかの関係があるわけではない」とも強調した。
この日の会見は、カーター氏の訪朝に対して批判的な立場を取っている韓国政府の考えを示したものといえる。韓米両国政府は、たとえカーター氏が純粋な意図をもって訪朝したとしても、北朝鮮に利用される可能性が非常に高いと予想している。
カーター氏は昨年8月に北朝鮮を訪れた直後、ニューヨーク・タイムズへの寄稿を通じて北朝鮮の立場を一方的に代弁したことがある。そのため韓国政府は、今回もそのようなことが繰り返されるのではないかと心配しているのだ。カーター氏は当時、北朝鮮が韓国の哨戒艦「天安」に魚雷攻撃を加えて沈没させた事件については一切言及せず、6カ国協議の再開を求める北朝鮮の考えばかりを一方的に伝えた。このためカーター氏は、リーバーマン上院議員をはじめとする米国の複数の政治家や学者などから強い批判を受けた。
外交安保研究院のユン・ドクミン教授は「カーター氏は北京での記者会見で、北朝鮮の食糧難があたかも韓国政府の責任であるかのような発言を行ったが、これは非常に遺憾なことだ」「外部から北朝鮮への食糧支援が途絶えた理由は、核実験や哨戒艦爆沈など、北朝鮮が相次ぐ挑発行為に及んだことにある。カーター氏はこの点を明らかにする必要がある」などと述べた。ユン教授はさらに「カーター氏はノーベル平和賞受賞者として、北朝鮮の人権問題改善の必要性について言及すべきだ」との点も強調した。
高麗大学のキム・ソンハン教授は「今回、北朝鮮がカーター氏の訪朝を受け入れたのは、相次ぐ挑発行為に対する責任を取らないまま韓国との接触を実現させ、米国との対話にこぎ着けるためだ。カーター氏は北朝鮮に利用されたと言われないためにも、北朝鮮に対して挑発行為の中断と、非核化に対する誠意を示すことを求めなければならない」と指摘した。
カーター氏を団長とする元国家元首のグループ「エルダーズ」は、26日に北京を経て平壌に到着し、百花園迎賓館で朴宜春(パク・ウィチュン)北朝鮮外相に会った。カーター氏と共に訪朝したエルダーズ訪問団には、フィンランドのアハティサーリ元大統領、ノルウェーのブルントラント元首相、アイルランドのロビンソン元大統領などが名を連ねている。(朝鮮日報)>
<【ソウル】ジミー・カーター元米大統領と欧州の元首脳3人は26日、北朝鮮の首都平壌に到着した。4人は金正日総書記と面会し、海外からの支援はすべて深刻な食糧不足への対応のために使うとの確証が得られることを望んでいる。
元首脳4人はこれに先立ち25日に中国で行った記者会見で、北朝鮮の食糧不足がどの程度深刻か評価するために招待されたと指摘した上で、同国の食糧不足を解消できるよう他国の支援を取り付けられるよう願っていると述べた。多くの国々が北朝鮮支援に消極的なのは、北朝鮮が政権を支える軍部や上層部に限定して支援物資を配っていた経緯があるためだ。
また元首脳4人は、北朝鮮の核兵器開発に関する6カ国協議の復活の見通しについても判断したいと述べた。北朝鮮は2年前に6カ国協議から離脱したが、昨年11月以降、復帰の意思を示している。協議に関わっている日本、韓国、それに米国の3カ国は、北朝鮮が実のある討議を行うとの確証が欲しいと考えている。
カーター氏らが北朝鮮から持ち帰る金総書記のメッセージは、韓国政府を非難する内容になる公算が大きいが、韓国政府当局者はここ数日間、同氏らが28日に訪朝の報告のために韓国を訪問する際には慎重に耳を傾ける意向を示唆している。
ただし韓国の金星煥外交通商相は26日、カーター氏らの訪朝が南北対話の再開のきっかけになるとの見方を否定した。同相は「北朝鮮と韓国は対話を始めるために第三者の手を借りる必要はない。北朝鮮は同胞(南北)間の対話を常に話題にしている」と述べた。北朝鮮の国営メディアは対話に関し「わが民族自身によって」という表現をよく用いている。また同相は、南北間にはいくつかの公式と非公式の外交ルートがあると指摘した。
今回、カーター氏とともに訪朝したのは、アハティサーリ前フィンランド大統領、ブルントラント元ノルウェー首相、それにロビンソン前アイルランド大統領。私的な元リーダーのグループ「エルダース」のメンバーの一部。
一行は26日、北京から空路で平壌入りした。会談は2日間行われる予定だが、その相手は不明。北朝鮮の国営メディアは26日、一行が朴宜春外相と会見したと報じた。(ウォール・ストリート・ジャーナル)>
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