7778 自民「不信任決議」の大合唱 古森義久

森喜朗元首相が産経新聞のインタビューで菅直人内閣の不信任決議案提出を呼びかけたことを受け、自民党各派領袖(りょうしゅう)は一斉に同調した。5月 26、27日の仏ドービル・サミットで新首相をデビューさせるべきだとの声も強まっており、5月上旬の不信任案提出への流れはできつつある。ただ、谷垣禎 一総裁ら党執行部は早期提出に慎重な姿勢を崩しておらず、提出時期をめぐる攻防が今後の焦点となる。(佐々木美恵)
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「とにかく不信任案を衆院でしっかり出すよう執行部に強く求めていきたい。しっかり決着をつける姿勢で臨まなければ日本全体が沈没する!」
森氏から最大派閥「清和政策研究会」(町村派)を引き継いだ町村信孝元外相は28日の派閥総会でこう訴えた。
志帥会(伊吹派)の伊吹文明元幹事長は「産経の森元首相のインタビューは非常にもっともなことだ。不信任が成立しなくても民主党が割れれば政局運営はわ が方は非常に有利になることは間違いない」と強調。宏池会(古賀派)の古賀誠元幹事長も「野党第一党として自民党が国民にケジメを示す時期がいま来てい る。衆院でしっかり決着すべきだ」と断じた。
為公会(麻生派)の麻生太郎元首相は「首相が何もしなきゃ政治空白と変わらない。5月9日以降動きが出る。覚悟を持たなければいけない」、平成研究会(額賀派)の額賀福志郎元財務相も「問責決議で首相が責任を取るとは思えない。衆院が対応するのが当然だ」と語った。
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まるで示し合わせたかのような不信任決議案への大合唱。自民党若手が画策した参院での首相の問責決議を先行させる案はすっかりかき消されてしまった。
提出時期も前倒しを求める声が強まる。平成23年度第1次補正予算案は5月2日に成立する。提出は大型連休明けの9日以降の公算が大きいが、「さらに前 倒ししてサミットなど新首相の外交日程に支障がないようにすべきだ」(閣僚経験者)との声もある。ところが、谷垣氏ら党執行部は慎重姿勢を崩さない。
不信任案を提出すればその後は審議拒否するしかない。もし否決され、政府・与党が国会を大幅延長した上で2次補正予算案などを次々に提出すれば抵抗するすべがなくなるからだ。
小池百合子総務会長は「不信任が通らなければ政権にフリーハンドを与えることになりかねない」と否定的な見方を示した。
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東日本大震災後、「政局優先」との批判を恐れて「菅降ろし」に慎重な姿勢だった公明党も態度を変えつつある。28日の党政調全体会議で支持母体の創価学 会に強い影響力を持つ草川昭三副代表が「第1次補正に賛成するが、菅の退陣を条件に認める。それを両院議員総会で決めるべきだ」とぶちあげると、出席者か ら喝采が起きた。
高まった機運に水を差せばチャンスは二度とめぐってこない。谷垣氏らが決断を先送りすれば、批判のやいばは執行部にも向きかねない。
杜父魚文庫

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