菅直人首相が中部電力浜岡原子力発電所の停止を要請したと発表した問題について、3日前の5月7日付の毎日新聞の解説記事に書かれていた次の一節がとても気になっていました。だんだんと「市民運動家」としての本性というか地金が出てきたなあという印象を受けたもので。
《首相自身は東日本大震災の発生後、「脱原発」には踏み込まないまでも、再生可能な自然エネルギーへの転換を進める意欲を国会答弁などで示してきた。「おれの大好きな風力発電を東電が放置してきた」と周辺に語るなど、政・官・業一体で安全神話を作り上げた「原子力村」に対する反発も隠していない》
おれの大好きな風力発電…。なかなか頭で考えても思いつかない言い回しですね。ホントに好きなんだろうなあ。そこで、菅首相のホームページの検索欄で、「風力」と入力してみたところ、菅首相が自身のブログ(?)に記したこんな言葉が拾えました。
《国家目標に「環境立国」を掲げ、風力発電の占める割合の目標やダイオキシンなど大気汚染の抑制目標を決める。そうすれば関連する分野の技術開発や設備投資が進むはず》(2001年8月21日付「社会ターゲット政策」)
《例えば10年後にダイオキシン濃度を低く押さえるという目標を決めれば焼却炉の作り替えで相当の需要が発生する。また10年以内に電力の内10%を風力でまかなうという目標を決めればこの分野の投資が進む》(2001年9月10日付「景気回復」)
《地球上のエネルギーで原子力以外、化石燃料も風力も水力も全て元をたどれば太陽エネルギーにたどり着く》(2004年5月27日付「縄文杉」)
《泊めてもらった7合目の太陽館ではうまい豚汁がおかわりし放題で、4杯も食べた。親父さんの話もおもしろく、ソーラ発電に加え風力発電に取り組むとのこと》(2004年8月18日付「富士山登頂」)
《日本では風力などクリーンエネルギーによる発電を電力会社は販売価格よりかなり安い価格でしか買わない。電力会社としての経済合理性から言えばそうなるのだろうが、政策的には無策としかいえない》(2007年8月24日付「無策」)
《ドイツでは風力やソーラ発電などクリーンな電力は売電価格よりも高い値段で買う政策を進めており、電力に占めるクリーエネルギーの割合は10%を超えている》(2007年11月13日付「政策」)
《電力は風力とソーラ、使用する車はバイオディーゼルか又はバイオエタノール車。こんな本部を作ってみたいが今のところ実現可能性は低い》(2007年11月30日付「師走」)
…なるほどねえ。やっぱり風力発電が大好きなんですね。電力会社への反発もそこはかとなく伝わってきます。それにしても、電力の10%を風力でまかなうという発想はなかなか大胆です。日本中に、いったいどれだけの風車を立てればそれが可能なのか。
今回の、手続きを踏まず、法的根拠もない中電への「要請」という名の事実上の「命令」を見ても、菅首相の野党時代からの持論である「民主主義とは期限を区切った独裁」という言葉を想起させます。「菅らしさ」をいよいよ発揮してきたということでしょうか…。
杜父魚文庫
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