7876 日米両政府、苦境へ=予算が人質に-普天間問題  古沢襄

米上院軍事委員会のレビン委員長らの嘉手納統合提案は、日米政府当局者にとっては寝耳に水だったようだ。北沢防衛相は12日「提言は重く受け止めなければいけないが、米政府を代表しての話ではなく、米政府の考え方をもう少し注意深く見ていく」と戸惑いを隠さなかった。
枝野官房長官は「現時点では日米合意がある。合意を着実に実施する」と弁護士らしい発言に終始した。しかし米政府の予算承認権を持つ米上院軍事委員会のレビン委員長らの提案は、米政府にとっては重い発言となった。
このままだと6月下旬の開催で調整している外務・防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)の協議も危ぶまれる。その結果、最大の懸案である普天間の移設が遠のくことになりかねない。さらには沖縄の振興策も、東日本大災害の復興支援が優先されるだろうから、沖縄県にとっても深刻な影響が出るのではないか。
<【ワシントン時事】停滞が続く沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題は、ついに米側からも現行案見直しを求める声が上がった。11日に声明を出した米上院軍事委員会のレビン委員長らは、米政府の予算承認権を持つ。提案は単なる意見とは重みが違う。日米両政府は今後一層、苦しい立場に追い込まれそうだ。
米議会はこれまで、2006年の日米合意を支持する立場だった。合意には、沖縄に駐留する米海兵隊のグアム移転がパッケージに含まれる。その予算を認める条件として普天間移設の「目に見える進展」を示すよう政権側に求めてきた。
これに対し、オバマ政権は、日本政府が現行計画履行に向け地元の説得を行っていると説明してしのぐのが精いっぱい。次回の関係閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)では、代替施設を滑走路2本のV字案に決め「進展」を果たした形を整える算段でいる。
ところが、レビン氏やウェッブ上院議員は4月、自ら沖縄を訪問し、仲井真弘多知事らと直接会談。県内移設に強く反発する地元の空気をじかに感じ取った。これでは移設計画を確定させても、その後の展望は開けないと判断、方針転換を促す姿勢に転じたようだ。
レビン氏らは今回の提言に沿い、今後の委員会審議を進める考えをゲーツ国防長官に伝えている。日米両政府は今のところ現行計画堅持の構えを崩していない。しかし、予算を「人質」に取られた格好だ。今後は難しい判断を迫られそうだ。(時事)>
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