7886 北朝鮮のミサイルの脅威、増す 古森義久

大震災の被害や原発事故への対応のために、日本ではこのところどうしても国外へ向ける注意や関心の度合いが減っています。当然の現象ではあります。日本国内の救済や復旧が最高至上、かつ切迫した急務だからです。
とはいえ国外の状況を無視することも、国家百年の計を誤ることにつながりかねません。ある意味では国内のこんな危機の際こそ、日本を脅かす国外の動きには関心を向けるべきともいえるでしょう。
その点で北朝鮮の軍事動向は監視を怠ってはならないでしょう。いま目前にある脅威であることは変わっていないようです。
■北ミサイル 半島最大の不安定要因 米研究機関「政治的な恐怖」
【ワシントン=古森義久】朝鮮半島の軍事情勢では北朝鮮の保有する各種弾道ミサイルが最も不安定な要因になっているという研究結果が、米国の有力研究機関「戦略国際問題研究所(CSIS)」から発表された。
「朝鮮半島軍事バランス」最新版で明らかにされたもので、韓国と北朝鮮の軍事力を細かく分析し、北朝鮮の軍事体制のなかでも「最も野心的、大規模だが最も不確実、不安定な要因」として各種弾道ミサイルの存在を強調した。
同研究によると、北朝鮮が保有するミサイルは▽短距離のスカッドB(射程約300キロ)とスカッドC(同500キロ)合計600~800基▽中距離のノドン(同1300キロ)約320基▽テポドン1(同2500キロ)、ムスダン(同3千キロ)、長距離のテポドン2(同最長9千キロ)などで、テポドンやムスダンについて、実際の保有や配備の基数はまだ不明だという。
同研究は、ノドンはすべて日本をも射程におさめていると述べる一方、中長距離ミサイルは搭載弾頭の選別や命中精度、誘導システムなどが未発展の段階にあり、使用された場合でもその効果が不明なため、「軍事的な破壊能力よりも政治的な恐怖の効果が主となっている」と指摘した。
同研究は、北朝鮮が核兵器と並んで弾道ミサイルの開発と配備に最も精力を注ぐ理由として(1)韓国軍や米軍との軍事バランスを自国に有利に変えるためには容易な方法となる(2)政治的、外交的に示威効果が大きい(3)外国への輸出により外貨獲得の有効な手段となる-ことなどを列記した。
しかし、中長距離のミサイルの性能にあまりに未開発の部分が多いため、安全保障上の突出した不安定要因になる危険が高いのだという。
同研究は朝鮮半島ではなお緊迫が続き、実際の軍事衝突の危険も高いとしており、韓国側が北朝鮮を攻撃する可能性は低いが、北側が全面戦争ではなく、当面の政治や安保の狙いのために限定的、あるいは挑発的な軍事行動を起こす展望はなお現存する、としている。
杜父魚文庫

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