ジョージ・ソロスは金(ゴールド)トラストを静かに売却していた。猛烈インフレ、借金経済に強いゴールドに早くも暴落気配を読んだ理由とは?
ジョージ・ソロスが、金市場になぐりこみ、過去数年間、ゴールドトラスト(金信託)といわれる金融商品に投資したことは市場では有名だった。
ところがソロスは年初来、その金ポジションを大幅に変更し、金信託持ち高6億5500万ドルを、静かに着実に売却し、6900万ドルまで劇的に下げていたことが分かった(ヘラルドトリビューン、2011年5月18日)。
ニューヨーク証券取引委員会の発表では、ソロス以外の名うてのファンドは、そろって金価格暴騰傾向に強気の読みを続けている。ソロス以外に金売却に走っているファンドはほとんど無い。
しかしソロスは世界的インフレとユーロの金融危機を深く織り込む予測を展開しており、彼のファンドが預託してきた「SPDR・ゴールドトラスト」から六億ドル強の投資を引き上げた。また「iシェア・ゴールドトラスト」から持ち株500万株を引き上げた。
2010年末時点でのソロスの金信託投資は7億7400万ドルに及んでいたことも証券取引委員会への届け出でわかっている。
金価格の暴騰は連続していた。この5月2日には一オンス=1575ドル79セントという未曾有の高値をつけた。
そしてソロスが金のほか商品市況にまつわる、とくにレアメタル関連の金融商品を280億ドル売り払った事実がわかると、ゴールド価格も下落を開始した。
ソロスが言う。「デフレだから金を買ってきた。世界はインフレ傾向となり、債券危機が表面化したいま、金やレアメタルが今後も上昇する可能性は少ない」。世界一の投機家ソロスの新しいご託宣である。
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(読者の声)日本人の震災への冷静な対応で、海外からは驚きや賞賛の声、幕末の欧米人による日本見聞記でも同様の記述が多いですね。
幕末の日本、地震・津波・大火・火山の噴火と災害のオンパレード。それでも日本人は略奪も泣き喚くこともなく、淡々と日常にもどっていくのが欧米人の目には驚きをもって書かれています。
日本人は変わったようで変わらない。幕末の横浜、千人とも二千人ともいわれる英軍、フランス軍も400人ほど駐留。毎日、外国船の礼砲が鳴り響き、酔った船乗りたちと日本人とのいざこざも絶えない。開港当初は友好的だった日本人も、一年も経つと外国人の乱暴狼藉におびえ外国人を見ただけで家の戸を閉ざす。そして横浜に外国人相手の岩亀楼という遊郭を作るところなど昭和20年の東京と同様です。
幕府の官僚たちも優秀な通訳、若手が堂々と意見を具申するさまなど評価が高い反面、仕事のない役人は昼間から酒と女でだらしない。
欧米が輸出する武器も当初は中古品で暴利をむさぼっても日本人は目利きですぐに最新の物を求めてくると驚く。幕府の造船所が石川島播磨の元になるのですが、日本の職人は同じものを作ることに飽きたらず必ず工夫を加えるあたりに将来の産業国家を予見、対するシナは外国を軽蔑しているため発展の見込みがないとする。
イタリア人の書いたものでは欧州は普墺戦争のさなか、日本で欧州勢が敵味方になることを懸念しています。将軍への献上品はイタリア各都市の美術工芸品の数々、都市国家の連合体であるイタリアらしい。
清帝国に対しては朝貢と受け取られかねないと英国が一切の贈答品を拒否、欧州勢もそれに倣ったといいますから、日本は欧州と同等の外交が可能な国と認められていたようです。
ロシアに関しては欧州勢と打ち解けず居住地も別。欧州勢が交易を求めているのに対し、ロシアはウラジオストクの軍港や対馬のロシア軍艦による占領事件など領土が目的と見抜いています。
デンマーク人のフランス海軍士官の見聞記では8月15日がナポレオン誕生日で盛大なお祝い、ところがクリスマスは神父の説教だけでお祝いはなくがっかり。クリスマスが北欧の冬至の祭りの変化したものだというのがわかります。フランスの軍艦に幕府の役人を招いての歓迎はフレンチカンカン。呆気にとられる幕府の役人、踊り子が水兵の女装とネタを明かされ日仏とも大爆笑。英軍ではありえないと言っていますから当時のイギリス軍もお固い雰囲気だったのでしょうね。
日本では死んだ人間が神として祀られることについてもイタリア人はローマ帝国の皇帝も同様だったと納得、デンマーク人もカトリックの守護聖人と同様のものとしていますから欧州の宗教観も16世紀とは様変わりのようです。
スイス領事の見聞録には日本で出される食事について、晩餐会・通常の食事にかかわらず、どこの国の人にもカレーが人気だとあります。インドを植民地にしていたイギリスのカレー、江戸時代から既に日本に上陸、海軍カレーに引き継がれ、今や中国でも大人気。歴史がどう動くのかほんとうに不思議ですね。(PB生、千葉)
(宮崎正弘のコメント)そのとき、歴史が動いた、ですか。
杜父魚文庫
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