7908 米中軍事交流は対立を鮮明にした 古森義久

【ワシントン=古森義久】訪米中の中国人民解放軍の陳炳徳総参謀長は18日、米軍のマレン統合参謀本部議長との共同会見で米中両軍の災害救済の合同演習の実施の合意を明らかにして、両軍の協力を強調しながらも、米国の台湾への武器売却や中国に対する偵察を激しく非難した。
マレン議長も中国軍の「透明性欠如」を議題にしたことを認め、両国軍部間の対立や差異も明確にされた。
会見では冒頭でマレン議長が両国軍部の交流や対話の始まりを歓迎しながらも「相互の透明性を期待する」という表現で米側が日頃問題視する中国人民解放軍の活動や予算、作戦などの不透明性も両首脳の会談では論じられたことを明らかにした。
記者団との質疑応答ではまず新華社通信記者の質問に答えたマレン議長が、中国側の非難する(1)米国の台湾への武器売却(2)中国沿岸での偵察行動(3)中国への高度技術輸出禁止-の3点が会談で議論され、不合意のままに終わったことをはっきりと認めた。
陳総参謀長は同じ記者の質問に「米国の中国軍拡批判には誇張が多い」と切り出し、中国の軍備強化は「中国の一部である台湾を分裂させようとする李登輝(元総統)や陳水扁(前総統)一派の試みを阻止するために照準を合わせての軍事能力の増強だ」と主張した。
さらに米国の台湾への武器売却は「台湾の分裂勢力を支援する中国の内政への干渉か、あるいは台湾を利用して中国の発展を抑える覇権的な動きだ」と激しく米側を非難した。
陳氏はそのうえで台湾の安全保障に配慮する米国の「台湾関係法」は「中国への内政干渉だ」と批判し、米国が台湾にさらに武器を売った場合、「米中軍事関係にはまちがいなく悪影響を及ぼす」と警告した。
陳氏は米軍が空と海から実施する中国の偵察行動に対しても「中国軍は米軍に挑戦するほどの能力を持っておらず、偵察は無用かつ不当だ」と非難し、米国が西欧諸国とともに実施している中国への軍事用途の高度技術輸出の禁止や制限に対しても「中国の軍事技術は米欧にあまりに劣っており、この禁止や制限は無意味だ」と反発した。
一方、米国議会では下院外交委員会のイリアナ・ロスレイティネン委員長(共和党)らが、米軍が陳総参謀長一行にネバダ州のネリス空軍基地などの視察を許すことに対し「米側の貴重な軍事情報が中国側に渡る危険性がある」として国防総省に抗議した。
杜父魚文庫

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