中国とインドの強熱な金買いは世界の半分の金消費。欧米の予測を軽々と裏切る金食い二大国家の狙いは何なのか?
2011年第一四半期だけで中国は290トンの金を買った。ちなみに昨年までトップのインドが買った同時期の金は85トン強で世界のゴールド市場の主役が交代した。
一般的に金を買うのは投資技術のなかでも利息を生まない死蔵を覚悟の投資とされ、ポートフォリオ重視の欧米ファンドはそれほど重視しない。
しかし中東から南アジアにかけては金を買う、金をためるのは一種伝統であり、富裕の象徴であり、またメンタリティの基本にある。
中国をおそう猛烈なインフレ。人々は争ってインフレにヘッジするために金を買う。この投資行為の前提はインフレより高く金価格上昇がともなうという曖昧な根拠でしかない予測である。
もっと露骨に言えば自国の通貨を紙屑のごとくしか考えておらず、信頼を自国通貨に寄せない分、もっとも信頼できる通貨=金に飛びつくのである。
日本人はたとえ凋落気味とはいえ日本円への信頼はすさまじいほどに強い。だからインフレヘッジという行動をとらない。
ドイツ、フランス、スイスなどの投資家は、金をインフレヘッジに用いるにしても、全体の5%から10%が限度とする。
「2010年、中国の金需要はインドと並び、11年に軽々とインドを凌駕し、業界は2020年に二倍となるだろうと予測している。宝飾をふくめての金、ジュエリー市場はインドが292トン、中国は234トン。現在中国の実需は350トンだが、需要は700トンを超える。だから金含有の宝飾品でも片っ端から購買する」(ウォールストリートジャーナル、5月20日)。
レアメタル寡占に走った中国は、猛烈な金備蓄を展開しつつ、次は人民元の金本位制を確立して、いきなり米ドルの地位を脅かす魂胆なのか?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
★読者の声 どくしゃのこえ ドクシャノコエ 読者の声★
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
♪
(読者の声)貴誌前号のジョージ・ソロスの金売却の件ですが,米国政府の債務膨張に関連して,ガイトナー米財務長官が「債務をファイナンスするために,金準備を売却することはない」と発言しております。
発言内容の真偽は定かではございませんが,情況的に多様な憶測を呼ぶことは避けられず,そろそろここで利食いするかというプロの判断ではないかと考えております。
それとも何かインサイダー情報があるのでしょうか?参考:「Geithner: US Won’t Sell Gold To Fund Debt」http://goldsilverrealestate.com/?p=433(UFO銀行)
(宮崎正弘のコメント)ウォーレン・バフェットはソロスより先に金信託を売却しているようですが、その理由はソロスと異なり「金は所詮、利息を生まない」です。
Newsweek(日本語版、5月18日号)に依れば、米国のホントのインフレ率は10%を超えており、ドル安のための原油高はガソリンのみかわ、航空料金は事実上、20%前後の値上げになっている。米国の公式統計は方法が都合の良いように改良されており、(78年から24回改善した)、通貨供給量は過去三年で三倍(なぁんだ、中国と同じじゃん)。となれば次は?
杜父魚文庫
コメント