何となくキナくさい匂いがする小沢一郎氏と渡部恒三氏の「合同誕生会」が24日、永田町で開かれた。鳩山前首相が乾杯の音頭をとり、民主党議員ら約160人が集まった。
前原外相も参加したので、首相退陣を求める小沢グループとポスト菅の有力候補である前原氏を抱える前原グループの接近と臆測を呼んでいる。前原氏はあいさつで大同団結を訴え、菅首相からは「合同誕生会」に福島県の酒が届けられたという。神経戦が続く。
<民主党の小沢一郎元代表(69)と渡部恒三最高顧問(79)の「合同誕生会」が24日、東京・永田町の憲政記念館で開かれ、鳩山由紀夫前首相や前原誠司前外相ら同党議員ら約160人が参加した。首相退陣を求める小沢グループと、主流派の前原グループの同席は臆測を呼びそうだ。
前原氏は「大同団結が極めて大切だ」とあいさつ。菅直人首相も福島県飯舘村の日本酒を届け、「党内融和」を演出した。小沢氏は日本航空の稲盛和夫会長を通じ前原氏の出席を求めており、接近が目立っている。
小沢氏は「再び国民の皆さんに支持を得られる政党にならなければいけない」と菅首相を皮肉った。渡部氏も記者団に「一番大事なのは災害対策で、私の考えとあまりに違ったときは(菅首相に)代わってもらうしかない」と述べた。(毎日)>
<民主党の小沢一郎元代表(69)と渡部恒三最高顧問(79)の合同誕生会が24日、3年ぶりに復活し、かねて不仲だった両氏の和解が成立した。主催者である世話人代表には非小沢系の代表格である前原誠司前外相が名を連ねた。渡部氏が菅直人首相から距離を置きつつあることに目をつけた前原氏の演出であり、前原、小沢両氏の“急接近”も裏付けられた。野党が6月早々の内閣不信任案提出に向け動きだす中、民主党内の中間勢力を巻き込んだ「菅降ろし」がいよいよ本格化してきた。(坂井広志)
「大同団結が極めて大切だ。渡部、小沢両先生に指導をいただき政権交代の果実を上げる大事な時期だ」
午後5時、国会の憲政記念館に前原氏のあいさつが響くと小沢氏は満面に笑み。前原氏が福島第1原発事故の影響を受けた福島県飯舘村の地酒を首相から預かったことを報告すると一瞬仏頂面に戻ったが、その後はずっと上機嫌だった。
渡部氏は「今日から小沢さんとも目を合わせ、口を利けるように頑張る。もしもの時の弔辞は小沢さん、よろしくお願いします」と仲直りを宣言。小沢氏も「彼は私に悪態をつき、私は私流にシカトしていたが、3年ぶりに話すきっかけを作ってもらった。これからは話し合いながら使命を果たしたい」と語り、ガッチリ握手。出席者から万雷の拍手が湧いた。
誕生会の仕掛け人は、京セラ創業者で日本航空会長の稲盛和夫氏。小沢、前原両氏と親しいこともあり「党が一枚岩になるために一肌脱いでくれないか」と前原氏に持ちかけたのだ。
誕生会には鹿野道彦農水相や松本剛明外相ら閣僚を含め民主党の衆参約160人が集結。小沢氏は尺八の伴奏に合わせ東北民謡「南部牛追い唄」を熱唱し、乾杯の音頭は鳩山由紀夫前首相がとった。
すっかり気をよくした渡部氏は「大切なのは東北の災害対策だ。国会延長してでも2次、3次補正をやるべきだ。俺の考えと違ったときは菅直人首相に代わってもらう」と条件付きながら首相退陣に言及した。
これまでの「菅降ろし」は小沢色が強かったこともあり広がりを欠いたが、仙谷由人官房副長官らも名を連ねる「凌雲会」を率いる前原氏が加わったことで、その輪は一気に広がった。
党内で基盤固めを狙う前原氏にとっても小沢、渡部両氏の“仲人”を務めた意味は大きい。小沢系と中間勢力の大同団結を実現すれば、玄葉光一郎国家戦略担当相らライバルを差し置いて「ポスト菅」の最右翼に躍り出ることができるからだ。「菅抜き」の大連立を見据え、自民党の石破茂政調会長や「たちあがれ日本」の園田博之幹事長らとも頻繁に接触を重ねる。
それでも「菅降ろし」のハードルは高い。小沢氏は内閣不信任案同調者の署名を集めているが、可決に必要な70人にははるかに届かない。首相批判の急先(せん)鋒(ぽう)である鳩山氏も不信任案同調には首を縦に振らない。
そこで小沢系が「次善の策」として狙うのが採決での大量欠席だ。不信任案否決は首相信任に等しい。処分を恐れて不信任案同調に及び腰な若手・中堅も「首相を信任すれば支持者に申し訳が立たない」と漏らしているだけに「欠席ならばおとがめなしさ…」という“ささやき戦術”は効果を上げつつある。(産経)>
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