7934 原発やめるか、日本経済やめるか 古森義久

原子力発電をめぐる論議が盛んです。当然でしょう。そうした論議のなかでも、葛西敬之氏の原発必要論はきわめて明快です。原発をすべてやめれば、日本経済が決定的にダメになる、というのです。
葛西氏はJR東海の経営の驚異的な手腕でならした人ですが、政治や経済の全般に関しての鋭い論客としても知られています。新幹線の中国への輸出の問題では早くから反対論を表明して、先見の明を証明しました。
その葛西氏の原発不可欠論を紹介します。
■【「改革」あれこれ】JR東海会長・葛西敬之 原発継続しか活路はない
津波による福島第1原発の被災により日本のエネルギー政策は最後通告を突きつけられた形だ。
一方では、現場の映像や風説に恐慌を来した人々が原発反対を唱え、定期点検を終了した原子炉の運転が再開できない状況である。全国54基の原発プラント はこれまで総発電量の約30%を発電してきたが、既に7基がこのような形で運転停止となり、このままでは1年余りのうちにすべて停止してしまうだろう。
もう一方には地震・津波・原発事故で損害を受けた人々を支援し、被災地域を復興するという大事業があるが、そのためには日本経済が力強く活力に満ちていなければならない。経済の血液循環とも言うべき電力の安定供給を瞬時も途切れさせてはならない。
相剋(そうこく)する2つの現実のはざまで日本はまさに進退窮まってみえる。
原発停止を求める人々は火力発電や再生可能エネルギーの活用に活路を求めよと主張する。しかし質・量・コストいずれの点から見ても一部補完以上の期待はできない。
今日の原発は50年に亘(わた)る関係者の営々たる努力と数十兆円に上る設備投資の結晶であり、それを簡単に代替できる筈(はず)がない。原発を止めれ ば電力供給の不安定化と電力単価の高騰を招き、それに続く企業の業績悪化、設備投資・雇用の縮小、経済の停滞・空洞化、税収の減少、財政の悪化、国債の信 用崩壊などの連鎖は日本経済の致命傷となりかねない。
これまで原子力発電はクリーンで低コストの自前電力を確保する国策の切り札として推進されてきた。原子力を利用する以上、リスクを承知のうえで、それを 克服・制御する国民的な覚悟が必要である。国はそれを正面から問うべきだった。しかしながら見たくない現実には目をつむり、考えたくない困難には心を閉ざ す敗戦後の日本の弊風(へいふう)の中でリスクはできるだけ当事者の腹中に収め、必要性と利用価値のみをアピールする形でしか進め得なかった。今回の災害 がもたらした原発危機の淵源(えんげん)はここに発する。
しかしすぐにでも現場の安全対策に生かせる貴重な教訓も得られた。それは初動における迅速な決断と果断な処置が被害を最小限に食い止める鍵を握るという ことだ。緊急時の責任体制と対処方法を明確に定め必要な資機材を適切に配置し、迅速な動員体制を整え、日常の訓練により十分に習熟しておけば同じ災害に直 面しても今回の事態は避けられる。
日本は今、原子力利用の前提として固めておくべきだった覚悟を逃げようのない形で問い直されているのだが、冷静に現実を見れば結論は自明である。今回得られた教訓を生かして即応体制を強化しつつ、腹を据えてこれまで通り原子力を利用し続ける以外に日本の活路はない。
政府は稼働できる原発をすべて稼働させて電力の安定供給を堅持する方針を宣言し、政府の責任で速やかに稼働させるべきだ。今やこの一点に国の存亡がか かっていると言っても過言ではない。本件については与党も野党もない。日本の政治家として、声を一つにして国民に語りかけ、日本経済の血液循環である電力 の安定供給を守り抜いてほしい。この一案件だけに限った挙国一致内閣があっても良いのではないかと思う。(かさい よしゆき)
杜父魚文庫

コメント

  1. yosi より:

    <何故改良の糧としないのか>
    安定且つ高品質の電力供給はあらゆる産業の基盤である。
    この構造を廃止し民主党・菅政権は己の政権保持と人気浮揚の道具にしようとしている。見え透いた国際公約などすれば後で恥をかくのが関の山である。
    落ち着いて考えればすぐわかるはずである。
    原発を廃止して、既に30%に及ぶ代替エネルギ源を何に求め得るのかを「原発廃止」論者は計数的根拠を明らかにする責任があるが、聞いたことが無い。
    それ以外素人受けを狙って論じられるのが、自然エネルギとか火力があるが、
    ①代替手段と目される太陽光、地熱、風力、潮力などは安定性と低エネルギ密度の問題以外に設置場所の制約もある。飽くまでも補助源としての位地付けである。
    ②天然ガス、石油による火力発電にしても燃料産出地域の政治的不安定さが電力供給全体を不安定なものにする。
    今回の不幸な経験の徹底解析を踏まえ、いかに既存の原発の安全性を高めるか、今後新設する核融合炉を含めた原発の仕様をどうするかの攻究なくして大衆受けのみを狙った「原発全廃論」など笑止である。
    もう少し日本人はまともな議論をしなければ、その知能程度は民主党員・菅内閣構成員と同じと世界から見なされ、バカにされる。

  2. yojituraku より:

    これが菅の狙っていることだ。
    全電力会社は、二度と福島原発の事故を起こすことは
    会社自身が存続しえない。だからそうならないように
    対策を十分に講じている。
    それでも必ず福島原発事故は再現されると強弁するのが
    売国どもだ。 その筆頭に立って、風評をばらまく歩く反原発の広告塔の菅だ。 日本をめちゃくちゃにしたいのだ。
    そしてその日本をシナ暴力団に貢いでいる。
    日本自治省のポストでも夢見とるん!

  3. 貧乏人 より:

    <東電叩きいい加減にしたら>
    相変わらず東電叩きが続いている。しかし、
    ①この事故は天災であり、東電の過失事故ではない。
    ②原子力発電所の建設に際しては国家基準があり、それに基き設計、建設、検査、運転、保守が行なわれている。また、地震・津波の規模は当時可能であった科学的知見に基いて予想されている。
    従って東電には各種損失弁済義務はなく、(時効もあろうが)国家規準の誤りによる損失補償請求の権利さえあるという性格の事案ではないか。
    最も警戒しなくてはいけないのは、外資系ファンドの介入である。
    彼等は日本の宝ともいうべき高品位の発電システムと高度配電システムを分解し、会社の売り買いで一儲けしようとしている。支那資本の代理人も多いであろう。民主党は支那のAgentであるから注意し、経産省・愛国政治家・民間が一体となって注意を払うべきである。

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