7940 1,000万戸に太陽光発電? 前田正晶

菅総理はOECDでこう打ち上げた。「またか」と思わせる効果があった。果たせるかな、海江田大臣は報道で知ったと言ってしまった。28日朝のTBSで岩見隆夫氏は「何でそういうことを言うか」と大臣を批判したが、子分にすら相談していなかったのだ。総理はこういう実態が海外に伝わらないとでも思っているらしい。
太陽光発電についての疑問を提示したい。確かに自然エネルギーの利用法を開発して利用を促進していくべきだろう。しかし、私は総理が採り上げた太陽光発電の安全性の保証の説明を聞いたことがない。
確かに、街を歩けば屋根の上にあのパネルを乗せた個人住宅は増える一方だし、報道によれば屋上に設置したビルも多くなった。
だが、専門家の意見では未だコスト高で、太陽が照らしていなければ十分に能力を発揮せず、パネルが何かで割れることもありその際の修理は高くつき、耐用年数もあるそうだ。
また、あれを広範囲に設置された下の土地は他の目的には使えず、日射を遮られ不毛となるし、日本家屋の構造には屋根等に悪影響ありとの説も聞いた。何事にも否定的な議論が出てくるものだから、この辺りは聞き流して良いかも知れない。
だが、私は耐用年数以外にあのパネル、それも大量に乗せたビルが耐震構造が不十分だったらどうなるのか、木材建築の個人住宅が大地震にあって倒壊すればやり直しになってしまうだろうが、基本論として耐震性が何処まで保証されているのだろうかが知りたい。
当方は現在、コンクリートの高層建築に住んでいるために、太陽光発電には縁がない生活なので不勉強かも知れない。だが、総理大臣はそういうことまで遍くご存知で、海外でしかも世界の主要国の首脳の前で打ち上げたのだろうか。
総理は個人住宅のことには言及したが産業界向けの、産業界用の自然エネルギーの開発・促進には触れていなかった。我が国を支えてきた製造業は社会主義と対極にあるとでも思っているので、産業界は等閑にして良いと思っているのだろうか。
彼は海江田大臣から、例えばアメリカの紙パルプ産業界において“cogeneration”(通称「コージェネ」)の普及やバイオマス・エネルギーの開発・利用が進み、化石燃料離れ等で莫大な投資が必要となっている現状、産業界の悲鳴を聞かされていたのだろうか。大臣は知らなくても官僚は聞いていると思うが。
上記のような情勢を踏まえて考えれば、各国首脳は菅総理の確約「20%を自然エネルギーで」と「太陽光発電云々」の危うさを読み取ったのではないかと危惧する。菅総理はテレビ・ニュースで見た限りでは、終始満面の笑みだった。サミットは笑って誤魔化せる場だったのだろうか。
杜父魚文庫

コメント

  1. 貧乏人 より:

    菅直人総理は「俺は東工大卒で技術には詳しいのだ」という思い込みがあるらしい。私は技術者だが、菅さんの様に市民運動で飯食ってた経験しかなく「堅気」の職業、ましてや技術者としての経験なんぞゼロであるのに「技術に詳しい」はないでしょう。技術者が怒りますよ。
    本来太陽光発電は発送電システムが完備していない開発途上国、辺境地での電力需要対応に適した機器ですが、先進国のように既に発送電システムが完備している社会には不要です。しかし今ECOと反原発で太陽光発電が注目されていますがこのシステムを生産、維持するための総エネルギ収支、設置コスト、ランニングコスト、勿論安全性などの諸点は曖昧なままです。一種の流行ですからやがて実像がわかってくれば落ち着くところに落ち着きますが日本国中の建物の屋根がソーラーパネルに覆われることなどまともな技術者は信じませんよ。バカらしい。

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