昨夜、時事通信に「菅直人の本質」と題した一文を書いたが、その中で本日の内閣不信任案採決の結果如何について書かなかったのは、「菅直人の本質」こそ重要であって、内閣不信任案の結果は分かっていたからである。
つまり、解散総選挙になれば消えてなくなる者ども、つまり幽霊が騒いでいるのだから結果は見えている。
しかし、東京の永田町からは、鳩山も不信任に賛成する模様、小沢グループは七十名以上を集めた、不信任案可決の流れ、と盛んに伝わってきた。
そして、本日、百四十票以上の大差で不信任案否決だった。結局、解散の恐怖心に駆られた永田町のネズミがアリバイ作りのために右往左往していただけだった。
「泰山鳴動してネズミ一匹」という言葉がある。しかし、この度は、鳴動していたのは泰山ではなくネズミなのであるから、ミミズや蚤の一匹もでない。馬鹿馬鹿しいことこの上なしだ。本日、テレビを無視して、論文の起案をしていてよかった。時間を有効に使えた。
そこで言っておく。菅直人の納め方、見事だ。総理としては無能だが馬鹿ではない。やはり、彼はコミンテルン運動家、共産主義組織に属した運動家だけはある。
昨日の時事通信の末尾に示したコミンテルンの目的の中に、軍事を含む「あらゆる可能な手段によって戦う」とある。
では、その「あらゆる可能な手段」とは何か。其れをレーニンは「革命家の道徳的体系」とし、その内実を「あらゆる種類の詐術、手くだ、および策略を用いて非合法的方法を活用し、真実をごまかし且つ隠蔽しても差し支えない」と説く(「大東亜戦争とスターリンの謀略」より)。つまり、彼らにとっては、目的の為なら何でも許されるのだ。菅にとっては、保身のためなら何でも許されるのだ。
そこで、菅直人は、その内にもつ「道徳的体系」に基づき、詐話師の本領を発揮して、正真正銘の馬鹿で未熟児の鳩山由紀夫を官邸に呼び、詐術を用いて本心を隠蔽して彼に代議士会で「総理は時期を見て退任する」と発言させ、一挙に不信任案反対の流れを造ることに成功した。
ネズミの群れの流れは、この一瞬で変わった。前日に子分ネズミを七十匹も集めて不信任賛成をブチ挙げた小沢氏は、まことにみっともないことであるが本会議を欠席した。保身を優先させたのだ。昨日小沢氏のまえで七十匹と共に不信任賛成をブチ挙げて、それに忠実に本会議に出席して賛成票を投じた者の方にむしろ好感が持てる。
さて、ネズミの群れは安堵してガスが抜けた。小沢氏もシッポを股の間に入れた。菅直人に一時の平穏が訪れる。
其れと共に、我が国の国力は落ち続けるだろう。そして近いうちに、終に、我が国を再興させるのは、不信任案を提出する自民党でもなく、賛成か反対かでうごめく永田町のネズミでもなく、草莽の国民そのものであると腹の底から得心するときが来る。
その時が、国家の再興への出発点だ。不自由な生活をされている東日本の被災地の皆さん、そして、全国の草莽の同志、あきらめることなく、その時を目指して頑張り、歩み続けましょう。
杜父魚文庫
7968 騒いでいたのはネズミの群れ 西村眞悟

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