本日の在京6紙は珍しいことに、全紙が政治部長論文が載っています。内容は、もちろん菅直人首相の不信任決議逃れの延命工作問題ですが、やはりここまで露骨に醜いものを見せられると、それまで菅首相をかばってきたところも、かばいきれなくなってきたようですね。濃淡はあれど基本的に、各紙とも早期退陣を迫っています。
まあ、今回の菅首相のあまりに因循姑息な騙しのテクニックは、与野党議員のほとんどを呆れさせ、げんなりさせたましたし、うかつにこれをかばうと、かえって読者から反感を買いかねませんしね。また、各社の最上層部はともかく、現場から情報が入るであろう部長であれば、もともと菅首相を評価できる道理もありませんし。
なので、今回は各紙の指摘をここに簡単に抜粋して記録しておこうと思います。菅首相は不信任決議案が否決されてしめしめと思っていたことでしょうが、メディアはもう菅首相のごく近い将来の退陣を織り込んでしまいました。墓穴を掘った、とも言えそうです。
産経・五嶋清部長 「乗せた首相も首相だが、乗せられた方も乗せられた方だ。こんな三文芝居を見せられて、これ以上、この首相、この内閣、この政党の何を信用しろというのか。
もっと言おう。この条件では菅首相が震災復興にもたつけばもたつくほど、長く地位にとどまれることになる。笑うしかない」(1面)
読売・玉井忠幸部長 「(菅首相の)こうした「二枚舌」的な不誠実な態度は、党内、さらには野党側の新たな反発を生もう。(中略)
野党側の非協力を、自らのさらなる延命の口実に使うようなことがあってはならない。退陣を口にした首相に長く居座りを許しておけるほど、今の日本が置かれた状況は生やさしくない」(1面)
朝日・渡辺勉エディター 「平時においてもその場しのぎの判断を重ねてきた首相にとって、戦後最大の有事を乗り切るのはやはり荷が重かった。(中略)
野党と大筋合意している復興基本法案が成立したら身を引くべきだ」(1面)
日経・池内新太郎部長 「いったん退陣に言及した首相の求心力は急速に低下する。菅首相のもとでの内政・外交の懸案処理は、もはや困難だ。首相は明確に期限を切り、ずるずるとその座にとどまるべきではない」(1面)
毎日・古賀攻部長 「独善的な振る舞いで人心を失いかけている菅首相。(中略)
菅氏は潔く後継にバトンを渡せるよう環境を整え、与野党は被災者の利益を最優先して復興基本法案や特例公債法案などの処理を急ぐべきだ」(2面)
東京・高田昌也部長 「原発事故対応や復旧・復興の遅れなどをみても菅直人首相が適任であるとは思わない。(中略)
辞任を約束してしまった以上、菅首相に政治的な力は残っていない。自公両党と大筋合意した復興基本法を成立させ、できるだけ第二次補正予算に道筋をつけて次の政権にスムーズにバトンタッチすべきだ」(1面)
各紙の社説・論調もこれから菅首相の退陣を求める方向に大きく舵を切っていくことでしょう。姑息な手段で場当たり的にその場をしのいでも、まあ、いずれ無理なものは無理だということになるのでしょうね。
私は、菅政権は昨年秋に尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件への対応を決定的に誤った時点で、もう終わっていたと考えています。その後、何もできないまま、自分がゾンビと化していることにも気づかないまま、ずるずるとここまで来ましたが。菅首相はあす首相指名1年を迎えますが、本当に何もやらず(できず)、国民にただ迷惑をかけるばかりです。
杜父魚文庫
7972 在京各紙の政治部長は菅首相早期退陣論で足並みそろう 阿比留瑠比

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