アメリカの政治、とくに政治関連の世論調査では最近、「ビンラーディン・バブル」という言葉が使われていました。
5月3日に米軍特殊部隊がテロ指揮者のウサマ・ビンラーディンを殺したことで、オバマ大統領への支持が高まったことを指します。
ところが今日はその「ビンラーディン・バブルの崩壊」が大きく伝えられました。
ワシントン・ポストとABCニューズの共同世論調査結果が6月7日、報道されました。ワシントン・ポストのその報道によると、最新の調査結果として、オバマ大統領への支持が47%、不支持が49%と、4月ごろの水準に逆戻りしたのです。
ビンラーディン殺害後は全米から歓迎の声があがって、オバマ支持は56%前後まで上がっていました。それが2カ月ほどが過ぎたいま、また前の水準へと落ちたというのです。
しかもオバマ陣営にとっての悪いニュースは、「いま選挙が実施されたら誰に投票しますか」という質問に対し、オバマと答えた人よりも、共和党のミット・ロムニー(この名前は本来は発音に合わせてラムニーと表記すべきですが、日本の大手メディアではスペリングだけをみてロムニーと書いているので、一応、それに従っておきます)と答えた人の数が多かったのです。オバマ支持47%、ロムニー支持49%だというのです。
もう一つ、民主党側への悪い状況はオバマ大統領の経済運営への国民の不満が記録破りに高くなったことです。今回の世論調査では、オバマ大統領の経済運営への支持が全体の40%、不支持、というより反対というほうが正確ですが、これが全体の59%となりました。つまりはアメリカ国民10人のうちの6人はオバマ大統領の経済政策に不満、あるいは反対だということを意味しています。
経済では悲観的な意見を述べる人が圧倒的に多いという調査結果も出ました。ガソリン価格の上昇、不動産価格の下落、失業者の増大と、悪い状況ばかりなのです。一般のアメリカ人はその原因をオバマ大統領やオバマ政権のせいにするというわけです。
この種の世論調査はもちろん、基本的には瞬間風速です。しかも肝心の大統領選挙は一年半も先の話です。だからこんごの情勢は予測困難です。
しかしオバマ大統領の再選が確実だなどという「予測」は現時点ではなんの根拠もないことは確実だといえます。
杜父魚文庫
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