自分の新刊書が出てみると、その内容の主題の一つである「反安保闘争」について改めて考えさせられます。私は1960年の日米安保反対闘争が日本を揺さぶったときには、まだ新聞記者にはなっていませんでしたが、その後の1970年の日米安保延長をめぐる動きは実際に記者として取材にあたりました。
ベトナム反戦運動、東大紛争、日大闘争、沖縄返還運動などなど、基調はみな日米両国間の安全保障条約への反対の動きです。日米同盟を否定する動きだったともいえます。
結局はこれらの反対闘争はみないずれもその目的を達することはありませんでした。日米安保条約は今日にいたるまで厳存し、機能を続けています。
ではあの「安保破棄」の叫びはなんだったのか。日米同盟には絶対反対を唱えた人たちがその後の日本の政治や論壇や学界で活躍し、当時とは正反対の主張をしたというケースも多々です。
しかしそれにしても日米安保条約はあれだけの反対にもかかわらず、なぜ存続したのでしょうか。結局は日本国民の多数がそれを望んだということでしょう。だとすると、あの激しい反対はなんだったのか。
私の新著はこの点について以下のような報告を載せています。
第三章 米軍を「悪」と断じた学生運動
「新聞記者、重態」
市街戦のような王子デモ
東側からみるか、西側からみるか
東大紛争前夜
現場最前線の「サツまわり」
機動隊突入!
スクープ合戦の日々
会計課長の行方を追え
日大闘争の表と裏
深夜の新宿騒乱
「実のない」デモで色あせる学生運動
こうした出来事を時系列的にたどっていくと、日本国民が下した「日米安保条約堅持」という選択の理由もよくわかってくる気がします。
杜父魚文庫
8000 日米安保はなぜ破棄されなかったのか 古森義久

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