オバマのカメレオンも、そのへんの役者では勝てないって!ウォール街を攻撃してきたのに、今度は幹部招いて擦り寄る凄まじさ。
共和党の有力候補であるロムニーはウォール街のウケが良い。ロムニーはウォール街の有力者多数と懇談し、献金も要請している。
オバマは、庶民の味方(であるはずだが)、それゆえ金持ちの味方、金持ちの論理を展開するウォール街を嫌ってきた。
げんにリーマン・ショック以後も、巨額のボーナスをせしめたウォール街の幹部連中を「太った猫ども」と非難した。
だが民主党政権下でも、国防長官は共和党系から財務長官はウォール街から選ばれる。クリントン第一次政権では論功行賞もあってベンツェン上院議員がなったが、すぐにサマーズと交替した。
ブッシュ政権では実業家ふたりを選んで順次、財務長官としたが経済回復に埒があかず、結局、ウォール街から辣腕経営者でゴールドマンサックス会長だったヘンリー・ポールソンを引っ張った。
オバマ政権ではガイトナーを財務長官として、対中経済外交をやらせたが、つまるところ、ウォール街との間にすきま風が吹くようになった。政権で経済政策を立案する人々はウォール街に敵対的だった。
再選を目ざすオバマ大統領は、第一に資金目的、第二にユダヤ票を固める必要、第三にすくなくともウォール街を共和党支持に回帰させないために、ウォール街とよりを戻す必要性がでてきた。
NYタイムズ(6月14日)付けの報道に寄れば、オバマは再選表明の前に、ウォール街の有力者12名をホワイトハウスに招いて懇談したという。
ヘッジファンドへの規制、財政赤字ならびに景気回復についてウォール街の意見を求めたのが表向きの理由、ホンネはウォール街を脅して(?)選挙資金を獲得するためである。
しかし規制緩和ではなく、規制強化というのがオバマの経済政策であり、ウォール街の活動への締め付けが強い。
▲ウォール街がまたオバマ政権を支持する可能性は薄い
このオバマ政権へ、ウォール街の不信感は抜きがたくあり、会合でも賛意をえられず、また少数の経営者からしか献金の申し入れはなかったという。
オバマ補佐官のジム・メシナ(選対本部)は、先月もひそかにウォール街を訪れ、何人かのヘッジファンド経営者に面会した。とくにオバマが近づいたマーク・プラズリーは、嘗てヒラリーへの献金で知られる有力者。
こうした下工作のあと、オバマは近くふたたびウォール街から銀行家、証券、ヘッジファンド、私募債起債専門会社などの経営者をあつめ、会合をもつ予定。だがウォール街はいまやうってかわって共和党の政策支持へと舵を切り直している。
杜父魚文庫
8024 オバマがウォール街にすり寄るカメレオンぶり 宮崎正弘

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