8086 引き抜き、野党怒れば菅延命の矛盾 渡部亮次郎

この期(ご)に及んで菅首相が自民党の参院議員1人を牛蒡抜きした。自民党ばかりか、公明党も怒っている。しかし怒って参議院で両党が菅首相の提示した「三条件」を満たさなければ、菅は9月以降も居座れることになる。
亀井はこう言って菅をたきつけたに違いない。自民党に恨みをもっている嘗ての参議院のドン村上正邦氏と亀井が組めばこんな仕事は「朝飯前」のことだ。菅にはできない。
よく考えなくとも分かる事は、今回、引っこ抜かれて被害者のはずの自民党が結局は加害者になって国民の批判を浴びることになるという珍事である。
そうだろう、国会で民主党に非協力的に出れば出るほど菅の「三条件」の成就は遠くなり、菅の居座りを手助けする結果となる。村上、亀らはこういう図式を見せて菅を煽ったに違いない。谷垣総裁、石原幹事長はこれを考えれば怒ってばかりも居られないのだ。
菅が9月に入っても居座れるとなれば必ずや「原発脱出」を掲げた「解散」を仕掛けてくる可能性も否定できなくなってくる。弁護士総裁ドノ、頭を捻って考えなさい。
とにかく「引き抜き」の経緯を「産経」が詳しく報じた。
<仁義なき引き抜き工作 亀井氏の釣り針に引っかかったのは…
仁義なき引き抜き工作に自民党が猛反発している。27日に発覚した浜田和幸参院議員の離党問題。
延長国会での平成23年度第2次補正予算案や特例公債法案などの早期成立に向けて、自民党は政府・与党から協力を呼びかけられていただけに、「握手を求めておきながら横っ面を張り倒すような行為」(閣僚経験者)と怒り心頭だ。しかし、自民党にも、切り崩しを受ける弱みを抱えていたのも事実だ。
切り崩しの仕掛け人は、国民新党の亀井静香代表と民主党の石井一副代表だった。
「副大臣をやってくれないか…」
23日、国会近くのホテル。亀井氏はある野党参院議員と極秘に接触すると、単刀直入に要件を切り出した。
この議員は石井氏からも何度も面会を求められ、断り続けていた。亀井氏と会うことにも躊躇はあった。2人の狙いは明白だ。野党議員にポストをちらつかせて与党入りを促し、衆参のねじれを解消する-。それは現政権の延命工作の一環にほかならない。
この議員は「菅さんが首相でいる限りは難しいですよ」と亀井氏に返答
した。
関係者によると、亀井氏は浜田氏を含め10人以上の野党参院議員と極秘に接触し、離党を促したという。多くの議員が要請を固辞したが、1人だけが釣り針にかかった。
「自民党にいても今期限りとみて誘いに応じたのだろう」
自民党幹部は浜田氏の行動の背景について、浜田氏が選挙地盤の鳥取県連幹部との間で衝突を繰り返していたことを挙げる。
参院鳥取選挙区では、平成21年12月に民主党の小沢一郎元代表の政治工作で当時、自民党参院議員だった田村耕太郎氏が離党し、民主党入りした経緯がある。
参院選を半年後に控えていたため、自民党は急遽、浜田氏を公認候補に選んだが、「緊急とはいえ、学者出身で政党政治を理解できない人を選ぶべきではなかった」と悔やむ声もあがっている。
自民党幹部は27日、政府・与党の謀略を口々に非難した。
山本一太参院政審会長「自民党の中に手をつっこむ手法は断じて許せない」
大島理森副総裁「内閣と自民党との間の信頼感は全くなくなると警告する」
浜田氏に対しては、離党を認めず除名処分で臨む方針だ。しかし、問題の本質は、今回の離党劇が浜田氏の単独行動で収まるかどうかだ。
自民党の離党予備軍は今は潜在化しているが、菅直人首相退陣後に民主党の支持率が回復すれば、一気に爆発すると懸念されている。
自民党の政党支持率は内閣不信任決議案の提出以降、続落しており、民主党批判の受け皿政党として受け止められていないのは誰の目にも明らかだからだ。
産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、自民党の政党支持率は19・0%。前回調査(5月28、29日実施)よりも1・7ポイント減り、東日本大震災発生直前の水準に逆戻りした。
逆に民主党は政党支持率を上げており、前々回調査(4月23、24日実施)で7・5ポイントあった差は、わずか1ポイント差まで肉薄している。
政権奪回のシナリオが見えない自民党。このため、参院の実力者だった村上正邦元労相ら自民党OBも、与野党連携を目指し動きを活発化させている。谷垣禎一総裁ら党執行部は、神経をとがらせる毎日が続きそうだ。>(産経)2011.6.28 11:49
<自民・谷垣氏「首相は暴走」と対決姿勢鮮明に 公明・山口氏も「協調的機運ぶちこわし」
自民党は28日午前の役員会で、菅直人首相が同党にいた浜田和幸参院議員を東日本大震災の復興対策を担当する総務政務官に「一本釣り」したことを受けて、徹底的に対峙していく方針を確認した。
谷垣禎一総裁は役員会で、「首相は(政権運営には)行き詰まり、暴走を始めた。自民党の協力は一切、いらないということだ」と厳しく批判。国会対応も対決姿勢を強める考えを表明した。
石原伸晃幹事長も役員会後の記者会見で「自民党、民主党執行部との信頼関係をズタズタにした」と指摘した。浜田氏に対しては「政党人として本当に許されない行為だ。自民党の支援者、同僚議員の協力で議席を得たにもかかわらず、目の前にぶら下げられたニンジンに飛びつくさもしい人だ」と非難した。
公明党の山口那津男代表も記者会見で「他党の議員を閣内に引っこ抜くという禁じ手を使うのは協調的な機運をぶちこわしていると言わざるを得ない。自民党として不快な気持ちを持つのはもっともだ」と述べた。>
(産経ニュース 2011.6.28 11:55 )
杜父魚文庫

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