8115 江沢民死去は政局にも影響 渡部亮次郎

中国の江沢民前国家主席は矢張り死亡していた、と7日、産経が報じた。しかし国営通信「新華社」は「噂」と否定した。それでも産経は取り消さなかった。
今、死なれては困る事情があるから否定したのだという論評もある。
「この時期に江沢民が死亡したとなれば、彼の率いる上海派は分裂が必至であり、次期主席確実といわれる習近平の立場は一段と弱いものとなり、政治局面は微妙である」とする宮崎正弘さんの見通しである。
NHKがどのような報道をするか、注目していたが、6日正午のニュースでは一言も触れなかった。読売や毎日も確実な情報は正午現在、とっていない。産経の特種となったのだろうか。
<中国の江沢民前国家主席が6日夕、北京で死去したことが7日分かった。日中関係筋が明らかにした。84歳だった。遺体は北京市内の人民解放軍総医院(301病院)に安置されていると見られる。関係者は「脳死」と話している。
江氏は1989年から2002年まで中国の最高指導者である共産党総書記を務め、改革開放路線を推進して高度経済成長を実現する一方、貧富の格差拡大を生み出した。
次期最高指導者と目される習近平国家副主席の有力な支持者でもあり、江氏の死去は今後の政局や日中関係にも影響を与えそうだ。
中国のメディア関係者によると、江氏は長期間にわたり膀胱(ぼうこう)がんで療養していた。4月ごろから体調を崩して入院、6月下旬から危篤の状態が続いていた。7月1日の中国共産党創建90周年の祝賀大会を欠席したため、重病説や死去説が流れていた。
江沢民氏は江蘇省出身。1947年に上海交通大を卒業。55年、当時のソ連の自動車修理工場で研修した経歴をもつ。電子工業相を経て85年に上海市長、87年に上海トップの上海党委書記に就任。
89年6月、民主化運動を弾圧した天安門事件直後にトウ小平氏ら長老たちに抜擢(ばってき)され、総書記の座に上りつめた。国家元首である国家主席は93年3月から03年3月まで務めた。
97年のトウ氏死去後、名実ともに中国の最高指導者となった。在任中、企業家の共産党入党を積極的に認めるなど党改革を手掛けたが、言論の自由や民主化に向けた改革には消極的だった。
引退後も、上海閥のリーダーとして政界に影響力を持ち続け、上海閥と良好な関係にある習副主席を支援してきた。産経新聞 7月7日(木)9時44分配信
以下は「毎日」の7日正午現在の報道ぶり。
<中国:江沢民前主席が危篤 一部に「死亡」情報も
江沢民・前中国国家主席 【北京・成沢健一】複数の中国消息筋は7日、中国の江沢民前国家主席(84)が危篤状態であることを明らかにした。一部には「すでに死去した」との情報も流れているが、中国の国営メディアは今のところ関連する情報を伝えていない。
江氏は今月1日の中国共産党創建90周年の祝賀大会に出席せず、重病説が流れていた。消息筋によると、江氏は北京市内の人民解放軍系の病院に入院しており、5日夜から容体が悪化した模様だ。
7日未明には「6日夕に死去した」との情報も飛び交うようになったが、最終的な確認はできていない。中国メディア関係者は「重大放送の準備をしておくようにとの指示が当局からあったようだ」と明らかにした。
◇04年9月に引退
江氏は1989年の天安門事件後に上海市党委書記から党トップの総書記に抜てきされ、93年3月に国家主席に就任した。在任中は、一党独裁体制下で市場経済化を推し進め、高度経済成長の土台を築いたが、汚職の深刻化や格差拡大などの問題点も指摘されている。
02年11月の党大会で総書記を退き、04年9月には党中央軍事委員会主席も引退したが、その後も政界への影響力を示していた。>
「時事」はまだ死亡していない説を採っている。
<新華社、江沢民氏の死亡情報を否定=「容体は深刻」と消息筋―中国
【北京時事】中国国営新華社通信は7日、江沢民前国家主席(84)の死亡説について、権威筋が「全くのうわさである」と否定したと報じた。中国の国営メディアが江氏死亡説について報じたのは初めて。
ただ、中国の消息筋は同日、「江氏の容体は深刻な状態にある」と明らかにした。関係者の間でも江氏の容体をめぐる情報が飛び交っている。
中国メディア関係者に対し、当局が追悼準備の指示を出したとの情報もある。>時事通信 7月7日(木)13時22分配信
▼唸声の気になるニュース/江沢民の死亡を単なる噂と新華社が言い放つ
写真は英語版チャイナディリー、Jiang Zemin’s death ‘pure rumor’:Xinhua=江沢民の死は単なる噂;新華社
http://www.chinadaily.com.cn/china/2011-07/07/content_12855415.htm
新華社が英文で明確に否定している。まぁ、今死んでもらっては困るのであろう。死んでいても、死んでいないのが、中共である。毛沢東は未だに墓にも入れない???
中共も一枚岩かと思いきや、上海派と北京派で勢力が大きく分かれている。次期国家主席と目されている習近平氏が江沢民の上海派であり、江沢民色を脱せずに死なれたら、ちょっと厄介。
これから、死んでいる江沢民を使って、都合のよいシナリオが展開する筈である。この辺りは、場当たり的な対応しか出来ない民主党とは違い、深く考えている。死んでいても死んでいない状態が長く続く。それが、習近平氏の力であろう。
ひょっとするとベッドで寝たきりの江沢民を演ずる影武者が病院に既にいるかもしれない。普通の国ではないので、こんなこと朝飯前だ。(唸声)
杜父魚文庫

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