金(ゴールド)価格は一オンス=1650ドルの市場最高値圏を更新中。8月2日がデッドラインだった米国の財政赤字上限更新(債務上限引き上げ法案)は、土壇場で議会との妥協が成立し、オバマ政権は当面の危機を乗り越えた。
ところが市場は悲観的である。
ウォール街の株価は下落し、金価格は未曾有の高値圏をさらに更新した。日本円だけが独歩高、政府はようやく介入姿勢をみせた。円高をこのまま放置すれば日本経済は壊滅的打撃をうけるだろう。
▲次の財政危機は中国である。
新幹線事故をきっかけに中国経済の凄まじい崩壊序曲が始まった。国家統計局の数字でもGDPの27%が借金である、という。08年以来の景気刺激策で、借金のまま市場へ流れた資金は1兆6500億ドル。
なかでも断トツの借金王は鉄道部である。
「独立王国」鉄道部は景気刺激策という国策に便乗して、あちこちに高速鉄道網を建設し、今日までの借金は3070億ドル(邦貨換算で24兆円)、これは中国GDPの5%に相当するという(数字はウォールストリートジャーナル、8月3日。日本経済新聞は、2兆907億元で、25兆円突破と、やや数字が異なるが、邦貨換算のレートが違うだけ)。
鉄道部の負債は過去五年で四倍となった。つまり過去五年は新幹線建設である。
2010年単年度だけで、鉄道部の借金は1050億人民元(邦貨1兆3600億円)
2011年上半期だけで、鉄道部の借金は1155億人民元(邦貨1兆5000億円)
そして、年内に必要とされる新借金が1400億人民元以上(邦貨1兆8200億円)。
さて、国有銀行からの借り入れで成立してきた鉄道経営は、限界にきている。鉄道部は、これらの借金を『鉄道債』で乗り切るつもりで楽観視してきたが、事故直後からの世論の激高、幹部の腐敗を前に財政的破綻が射程に入った。
まさに新幹線事故が示唆する、つぎの中国経済の破局は深刻なものとなるであろう。
杜父魚文庫
8213 米国は財政赤字上限、なんとか当面の危機を乗り越えたが 宮崎正弘

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