菅首相の居直りもなかなかのものです。退陣を求める側はそろそろ批判や非難の言葉に尽きてきた観さえあるようです。
さて菅首相の厚顔無恥な居座りに対しての多様な論評のなかで、とくにおもしろいと感じた一文を紹介します。その趣旨は菅首相は居座ることで自民党を利し、自民党に恩返しをしている、というのです。
この評論は日本経済新聞の特別編集委員の伊奈久喜氏が7月に書いた「風見鶏」というコラムです。このコラムは「鳩山政権をはやす人たち」への言及部分をすでに紹介しました。
要は菅氏が居座れば、居座るほど、自民党には利得となるが、かつて民主党も菅氏も与党の自民党の「敵失」で政権を取ったという「恩」があるから、その「恩返し」をいま自民党にしているのだ、という趣旨なのです。以下、伊奈コラムのその部分を引用させてもらいます。
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「あのマニフェスト(政権公約)の非現実性を知りながら、有権者は民主党を選んだ。当時の自民党は、それほど嫌われていた。逆説めくが、現在の政治混乱のきっかけは、自民党にあった。が、因果は巡る。
菅首相は、不支持率が支持率を上回る異常状態が半年以上続いても居座りを決め込む。混乱は拡大再生産し、実は自民党に恩返しをしている。鶴ならぬ、菅の恩返しか。川柳風に表現すれば『延命で自民党への恩返し』である。
自民党政権末期、小泉純一郎元首相は『自民党は小沢(一郎氏)を大事にしろよ』と言い、民主党は麻生太郎首相の退任を嫌った。当時の小沢、麻生両氏と同様、敵に好かれる奇妙な悪役を菅氏は演じる。
菅首相の在任が長くなるほど、民主党内の亀裂が深まり、次の衆院選挙は自民党に有利になる。右の川柳は『延命』を『解散』に代えても成り立つ。菅内閣不支持率は支持率の2倍以上ある。『脱原発』解散に自民党はほくそえむ(以下略)」
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こんな感じです。菅さんは「延命で自民党に恩返し」なのです。でも菅延命で日本国が沈没したら、どうするんだ、という反論は当然、あるでしょうね。
杜父魚文庫
8232 菅首相の自民党への恩返し 古森義久

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