8293 中国が注視するカダフィ独裁の崩壊  宮崎正弘

カダフィ独裁の崩壊劇を恐怖と畏怖の眼差しで注視する中国。北京の奥の院は、明日の我が身を心配しているのか、沈黙が長いナ・・・。
独裁の終わりとは寂寥がただよう。カダフィは完全に反政府軍に包囲され、息子達は拘束された。傭兵はつぎつぎと逃げ去る。トリポリは反政府軍が制圧した模様だ(8月22日午後四時時点)、米国は最後通牒に酷似した声明を突きつけている。
この独裁政権のあっけない崩落は、NATOの空爆が主因である。反政府軍のちゃちな軍事力ではカダフィの傭兵には歯が立たなかった。欧米が軍事介入をきめた時点で、カダフィの末路は明らかだったが、一番焦った国の一つは中国だった。
中国はカダフィ独裁に肩入れしてつぎつぎと石油鉱区開発に精を出し、リビアに天文学的な投資を敢行した。
スーダン、アンゴラ、イランに匹敵するほどのプロジェクトが進捗し、リビア内戦勃発前までに、驚くなかれ、三万六千人もの中国人がリビアで働いていた。
中国は彼ら全員を引き上げさせた。開発中だったリビア・プロジェクトはすべてが中断もしくは頓挫、損害額は邦貨換算で4800億円前後と見積もられている。
ひたすらカダフィ政嫌の存続を中国が願った理由は、カダフィが全体主義独裁だからではない、この独裁者と契約したプロジェクトが新政権になれば反故にされるかもしれないからだ。
カダフィ側の形成不利が伝わった三月から、中国はエジプトを経由してベンガジの反政府国民評議会とも接触を開始し、またベンガジ港から中国向けの石油タンカーは二回にわたって出航させた。リビア政変以後、中国がいかなる動きに出るか? 注目である。
   
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読者の声 どくしゃのこえ 読者之声
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(読者の声)自由経済に舵を切って以来の中国の抱える矛盾が噴出している。新幹線事故の隠蔽体質や銀行の巨額赤字が表に出て、欧米の、または、日本の投資家に警戒心が出ている。中国では、共産主義を信奉する者は、政府にも民間にもいない。?小平は“公平よりも、効率”と言い切った。信仰していた共産主義を捨てた。中国の民衆には信仰の対象がなくなったわけですね。カネだけが生きる動機となった。繁栄と崩壊の二面を抱えてやってきたが、繁栄はかげり、崩壊のモーメントが大きくなってきた。
中国経済は、日米欧の経済とリンクする。その日米欧が二番底に落ちていく。一方、日本を見ると、政府も国民も国家再建の情熱に欠けている。前原も小沢もビジョンなどない。(伊勢ルイジアナ)
(宮崎正弘のコメント)日本は戦争をやっているという自覚がないのです。金融と通貨戦争のまっただ中にあるのに、財務省は増税路線、民主党は予算ぶんどり合戦。政も官も馬鹿の集合体ですから。
なにかの番組で小生が「財務省がエリートのあつまりというのは誤認、なにかの間違いであり、あれは防衛庁と入れ替えろ」と発言したところ、全員の賛成を得られましたよ。
野田は財務省のあやつり人形ですかね。決断力に乏しいというよりIQが低いんじゃありませんか? 日本の政治家として何をしなければいけないかが分かっていない。
杜父魚文庫

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